最終更新日 2024/9/1
2019.11.18 『日本語配慮表現の原理と諸相』(編著) くろしお出版 ISBN:978-4-87424-815-7
日本語に配慮表現と呼ばれる表現群が存在することは最近20年間で急速に知られるところとなり、日本語学の主要なテーマの一つとなりつつある。本書では配慮表現をポライトネス機能が慣習化した表現群と捉え、それを踏まえた配慮表現の定義や分類など、今後の配慮表現研究の指標となる標準的な考え方を整理し、第T部「配慮表現の原理」として示した。そのうえで、具体的な個々の配慮表現に対する各研究者の論考を第U部「日本語配慮表現の諸相」として収録した。さらに、配慮表現が日本語のみならず諸言語に見られる現象と捉える立場から、英語、中国語、アラビア語、ウズベク語との対照研究の試論を第V部「配慮表現の対照研究」として収めている。
2018.8.10 『新版・日本語語用論入門──コミュニケーション理論から見た日本語』(共著) 明治書院 (共著者:山岡政紀・牧原功・小野正樹) ISBN:978-4-625-70410-9 C3081
〔書評〕日本語用論学会NEWSLETTER(評者:日本語用論学会広報委員会)
『コミュニケーションと配慮表現』(2010、明治書院)の第1部を中心に大幅な内容改編を加えて新版の語用論教科書として再編した。語用論の基礎、協調の原理、関連性理論、発話行為論、発話機能論、ポライトネス理論などの諸理論を概説し、イントロダクション・タスク、本編タスク、章末には練習問題、ヒントを配置した。初めて語用論に接する大学生に最適の入門書。
2015.12.1 『異文化理解と日本語教育』(共著) 趙華敏編、高等教育出版社
2010.2.20 『コミュニケーションと配慮表現──日本語語用論入門』(共著) 明治書院 (共著者:山岡政紀・牧原功・小野正樹) ISBN:978-4-625-70407-9 C3081
〔書評〕明治書院『日本語学』新刊クローズアップ(第29巻第4号、山岡による自己書評)
2009.12.25
『日語動詞及周辺研究』(共編) 外研社 (共編者:張威・山岡政紀)
2008年10月に中国・清華大学にて開催された「国際フォーラム・日本語動詞研究とその周辺」の成果論文集の編者を張威清華大学教授とともに務めた。
2008.6.25 『発話機能論』 くろしお出版 要旨 ISBN:978-4-87424-419-7 C3081
〔書評〕大修館書店『月刊言語』言語圏α(2009年2月号、評者・熊谷智子氏)
2004.3.1 『日本語言文化研究』第五集(共著) 北京大学日本文化研究所・創価大学文学部編、学苑出版社(招待編者)
2003年3月(北京大学)と6月(創価大学)の二度にわたって開催された「配慮表現シンポジウム」の成果論文集の編者を趙華敏北京大学教授とともに務めた。
2000.10.15 『日本語の述語と文機能』(日本語研究叢書13) くろしお出版 裏表紙 ISBN:978-4-87424-207-0 (4-87424-207-3) C3081
従来の日本語研究ではモダリティの一種として論じられることの多かった、文の対人機能的意味について、述語語彙を中心に主語の人称や格、述 語の時制などに
よって複合的に規定される意味要素「文機能」として整理・分類し、考察した。特に、形容詞述語文と形容詞的な動詞を述語とする文(感情動詞文・叙述動詞 文)について、用例を収集してその文機能について記述的に考察した。その際、属性動詞や感情表出動詞など、従来の日本語文法で看過されていた動詞群を範疇
化し、詳述したことも一つの成果である。筑波大学博士学位論文「日本語の述語と文機能の研究」の公刊版。
〔書評〕大修館書店『月刊言語』言語圏α(2001年4月号、評者・高見健一氏)
凡人社『日本語教材リスト』No.30(2001)
2024.8.24 『創造的人間への道―人間学を道標として』(共編著者:山岡政紀・伊藤貴雄)第三文明社 ISBN:978-4476034295
new
現代ほど人間が抱える矛盾が顕在化した時代はない。若き学徒たちがこの時代を切り拓く創造的人間たり得るためには、あらゆる学問の根底に「人間とは何か」を問い続ける「人間学」がなくてはならない。人間学の具体的方途として創価大学創立者は「生命の尊厳の探究者たれ」「人類を結ぶ世界市民」「人間主義の勝利の指導者たれ」との指針を示した。この指針を通して現代社会の人間が直面する矛盾に切り込み、それを人間の価値創造へとアウフヘーベンしていく道を模索する一書。創価大学文学部教授陣の共著による必修科目「人間学」の教科書でもあり、一般読者と共に考える啓発書でもある。
2021.12.20 『創学研究T―信仰学とは何か』(共編著:創学研究所編)第三文明社 ISBN:978-4476034011
松岡幹夫氏が2019年4月に設立した創学研究所に研究員として参加している。「創学」とは「創価信仰学」の略である。宗教教団や信徒に現れる外的事象を客観的に考察しようとする宗教学とは一線を画し、信仰そのものの内面的かつ本質的な論理を聖典に基づいて言語化していくのが信仰学である。既存の「キリスト教信仰学」に当たるものが神学(theology)であるから、「創価信仰学」は創価学会版の神学とも言える。本書は、研究所設立以降の3年間に行ってきた研究会、座談会、対談、論考執筆などの成果を集約した最初の研究書として世に問うものである。思想史学者の黒住真氏、キリスト教神学者の佐藤優氏、仏教学者の末木文美士氏、ユダヤ教神学者の市川裕氏ら著名人ゲストとの対話も収録している。
2018.2.27 『ヒューマニティーズの復興をめざして―人間学への招待』(共編著) 勁草書房 (共編著者:山岡政紀・伊藤貴雄・蝶名林亮) ISBN:978-4-326-10266-2 C3010
〔書評〕「『ヒューマニティーズの復興をめざして』――創価大学文学部教授陣による好著」(Web第三文明より 評者:本房歩)
2023.3.20 「多言語配慮表現データベース構築プロジェクト報告(1)―2022年度の活動報告―」 『日本語コミュニケーション研究論集』第12号、日本語コミュニケーション研究会、1-14
科学研究費補助金(基盤研究(B))研究課題「多言語配慮表現データベースの構築と配慮表現辞典の編纂」(2022〜2025)の初年度2022年度の研究活動について報告した。
2022.9.10 「日本語の文法と語用論――モダリティから発話機能へ――」 『日本語学』第41巻第3号、明治書院、34-41
日本語の文法論(統語論・構文論)と語用論を対比する観点から文脈依存性の強い文法範疇である人称とモダリティを取り上げ、語用論的条件を考慮した発話機能の観点から考察する必要性について述べた。
2022.7.3 「マイナス評価の配慮表現に関する日中対照」(李奇楠氏と共著)『日本語用論学会第24回大会発表論文集』第17号、日本語用論学会、205-208
2022.7.3 「副詞による賛同表現の日英対照」(甲田直美氏、西田光一氏と共著)『日本語用論学会第24回大会発表論文集』第17号、日本語用論学会、209-212
日本語の「たしかに」のように事実性の副詞が賛同表現に移行する現象は、英語の”exactly”,”difinitely”にも共通して見られるが、事実性の捨象の度合いにおいて若干の相違が見られる。
2022.3.20 「日本語配慮表現データベース構築プロジェクト報告(4)―2021年度の活動報告―」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第11号、日本語コミュニケーション研究会、91-102
科学研究費補助金(基盤研究(B))研究課題「日本語配慮表現辞典の基盤形成のための配慮表現正用・誤用データベースの構築」(2018〜2021)の最終年度2021年度の研究活動について報告した。
2021.9.1 「日本語配慮表現の定義・分類・語彙」 『日本語語用論研究』(日本学研究丛书 第9章)、北京外国語教学与研究出版社、211-243
中国における日本語研究でも関心が高まっている配慮表現研究の最新の研究成果について、配慮表現の定義・分類・語彙を中心に紹介した。
2021.6.30 「配慮表現はいかに普遍的であるか」『日本語用論学会第23回大会発表論文集』第16号(2021)、日本語用論学会、165-168
言語表現が一定のポライトネス機能を帯びることが慣習化する現象が配慮表現であるとすれば、それは日本語以外の諸言語にも見られる現象のはずである。英語、中国語等において慣習化した配慮表現を取り上げ、その普遍性について考察した。
2021.3.30 「配慮代名詞「何」を用いた配慮表現―前置きの「〜のも何ですが」を中心に―」 『国語学研究』第60集、東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会、1-12
「自分で言うのも何ですが」のように主節のFTAを緩和するメタ的な従属節において、マイナス価値の語句に代用される配慮代名詞「何」の使用実態を調査し、その機能を考察した。
2021.3.20 「日本語配慮表現データベース構築プロジェクト報告(3)―2020年度の活動報告―」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第10号、日本語コミュニケーション研究会、1-13
科学研究費補助金(基盤研究(B))の採択を受けた研究課題「日本語配慮表現辞典の基盤形成のための配慮表現正用・誤用データベースの構築」(2018〜2021)の第3年度に当たる2020年度に行った研究活動について報告した。
2021.2.1 “A dictionary of considerate expressions”, Impact: Critical Thinking in
Social Sciences, Volume 2021, No.2
(February), Science Impact, 62-64
配慮表現とはポライトネスが慣習化した言語表現であり、英語をはじめ諸言語に見られる普遍的な範疇であることを英語で説明するとともに、「配慮表現辞典」構想について述べた。
2020.3.30 「日本語疑問表現の会話における発話役割―発話機能論からの考察」 『日本語語用論フォーラム3』(加藤重広・滝浦真人編)、ひつじ書房、43-73
日本語疑問表現が《質問》であったり《非難》であったりする対人機能面の多様性を、発話機能論における会話の発話役割《要求》―《付与》の観点から分析することで正確に記述できることを論証した。
2020.3.20 「日本語配慮表現データベース構築プロジェクト報告(2)―2019年度の活動報告―」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第9号、日本語コミュニケーション研究会、74-89
科学研究費補助金(基盤研究(B))の採択を受けた研究課題「日本語配慮表現辞典の基盤形成のための配慮表現正用・誤用データベースの構築」(2018〜2021)の第2年度に当たる2019年度に行った研究活動について報告した。
2019.11.18 「配慮表現とは何か」 『日本語配慮表現の原理と諸相』序章(編者:山岡政紀)、くろしお出版、1-15
そもそも配慮表現とは何であるかを問いかけ編著書の導入とした。「つまらないものですが」に象徴される、相手への配慮を目的とした慣習的な表現群を配慮表現として範疇化する必然性について述べた。
2019.11.18 「配慮表現研究史」 『日本語配慮表現の原理と諸相』第1章(編者:山岡政紀)、くろしお出版、19-34
1997年の初出以来、敬語から敬語表現、敬意表現へと発展していった流れ、ポライトネス理論の一環として現れた流れ等、異なる支流にも共通項を見出し、配慮表現研究史の全体像を記述した。
2019.11.18 「配慮表現の定義と特徴」 『日本語配慮表現の原理と諸相』第2章(編者:山岡政紀)、くろしお出版、35-50
配慮表現をポライトネス機能が慣習化した表現群と捉え、その観点からの定義を明確にした。慣習化のアナロジーとしてメタファーを引き合いに出し、表現の意味として定着していくプロセスを記述した。
2019.11.18 「配慮表現の分類と語彙」 『日本語配慮表現の原理と諸相』第3章(編者:山岡政紀)、くろしお出版、51-66
配慮表現群を形式と機能の両面から分類案を提示した。特に機能分類ではポライトネスの原理との対応をもとに利益表現、負担表現、緩和表現、謙遜表現などの7分類に集約されていくことを主張した。
2019.9.27 「日本語配慮表現データベース構築プロジェクト報告(1)―研究計画と2018年度の活動報告―」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第8号、日本語コミュニケーション研究会、1-14
科学研究費補助金(基盤研究(B))の採択を受けた研究課題「日本語配慮表現辞典の基盤形成のための配慮表現正用・誤用データベースの構築」(2018〜2021)の研究の目的・意義、研究計画、研究組織などについて概要を報告するとともに、初年度に当たる2018年度に行った研究活動について報告した。
2018.1.26 「日本語配慮表現の分類と語彙リスト」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第7号、日本語コミュニケーション研究会、3-11
科研費研究課題の資料整理として、データベースの項目として使用した形式分類、機能分類を明確にし、収録した語彙のリストを記載した。
2017.3.20 「配慮表現の慣習化をめぐる一考察―メタファーとのアナロジーをもとに―」 『日本語日本文学』第27号、創価大学日本語日本文学会、27-38 (創大リポジトリ)
ポライトネスが慣習化して配慮表現となるプロセスと、メタファーが慣習化して死喩(慣用メタファー)となるプロセスとを比較することによって、文脈依存の臨時現象が文脈ごと一般化する慣習化現象の特徴を理解するための一助とした。
2017.3.20 「日本語配慮表現データベース構築に向けての現状と展望――科研費研究課題の報告として――」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第6号、日本語コミュニケーション研究会、106-119
科研費研究課題の研究期間終了に当たり、4年間の研究成果である論文8本、口頭発表16件を一覧にまとめ、成果の具体的内容を配慮表現の定義と分類の2点に集約して自己論評を行った。
2016.6.5 「「カモシレナイ」における可能性判断と対人配慮」 『言語の主観性――認知とポライトネスの接点』(第8章、小野正樹・李奇楠編) くろしお出版、133-150
従来は個々に指摘されてきた「カモシレナイ」の可能性判断用法と対人配慮用法とについて、両者に一貫する意味構造として意味上の二重否定構造を想定することで説得的な説明が可能となることを論証した。
2016.3.1 「配慮表現の慣習化と原義の喪失をめぐる一考察」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第5号、日本語コミュニケーション研究会、1-9
ポライトネス機能が慣習化して配慮表現として定型化する際に見られる原義の喪失を概観することにより、慣習化という現象の特徴を記述した。
2015.12.5 「慣習化されたポライトネスとしての配慮表現の定義」 『日本語用論学会 第17回大会発表論文集』第10号(2014)、日本語用論学会、315-318
日本語に多く見られる配慮表現とは、いずれもポライトネスの意識に動機づけられた表現が慣習化し、定型化したものであることを指摘し、配慮表現の定義に「一定程度以上に慣習化された」を加えることを提案した。
2015.12.1 「配慮表現の日中対照と日本語教育」 『異文化理解と日本語教育』 趙華敏編、高等教育出版社(共著者:山岡政紀・李奇楠<北京大学副教授>)、216-231
日本語の配慮表現を中国語に翻訳してみると対応する表現が慣習化している場合といない場合があり、中国語話者への日本語教育に際して考慮すべきことを主張した。
2015.3.20 「現代日本語配慮表現の記述方法の確立に向けて――配慮表現データベース構築の基礎論として――」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第4号、日本語コミュニケーション研究会、57-63
科研費助成を受けて推進中の研究課題「発話機能を中軸とする日本語配慮表現データベースの構築」の中間報告として、データベースの形式、項目、データサンプル、記述方法等を報告した。
2014.3.20 「文機能とアスペクトの相関をめぐる一考察――テイル形の人称制限解除機能を中心に――」 『日本語日本文学』第24号、創価大学日本語日本文学会、27-40 (創大リポジトリ)
前稿(2014.2.1)の改訂版。アスペクトとエビデンシャリティのいずれか一方のみの解釈を許す用例を厳密に検証することにより、いずれがより本質的であるかの論証を強化した。
2014.2.1 「文機能とアスペクトの相関をめぐる一考察――動詞テイル形の解釈を中心に――」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第3号、日本語コミュニケーション研究会、1-8
動詞テイル形には主観的感情表現の人称制限を解除する機能があることから、その本質的意味をエビデンシャリティであるとする見解がある。これに対し、テイル形が持つ時間幅が客観的感情表現を可能にすることから、その本質がアスペクトであることを論証した。
2012.11.30 「いわゆる疑問表現のコミュニケーション上の二面性をめぐって」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第2号、日本語コミュニケーション研究会、69-78
いわゆる疑問表現には、その発話役割が《要求》の場合と《付与》の場合とがあるが、両面を兼ね備える事例もあり、それがディスコミュニケーションを誘引する場合があることを考察した。
2011.10.15 「「と思う」構文の発話機能に関する対照研究」pdf 『日本語コミュニケーション研究論集』第1号、日本語コミュニケーション研究会、93-102
日本語の「と思う」構文が《主張》のみならず、{策動}系や{表出}系の発話にも多用されることを考察し、機能の違いによって対応する英語、中国語の訳文が変わることを考察した。
2009.12.25 「「擬態語する」の語彙と文法機能」 『日語動詞及周辺研究』張威・山岡政紀主編、外語教学与研究出版社、124-134(共著者:山岡政紀・大塚望<創価大学准教授>)
ドキドキする、ソワソワするなど、感情表現の多い「擬態語する」の語彙群を範疇化して整理するとともに、それらが構文上、形容詞と同等の特徴を有していることを論証した。
2009.6.1 「「かもしれない」の談話機能について」 『漢日理論語言学研究』沈力・趙華敏主編、学苑出版社、26-37(共著者:小野正樹<筑波大学講師>・山岡政紀・牧原功<群馬大学准教授>)
「かもしれない」を蓋然性判断・可能性判断のモダリティとする従来の先行研究の問題点を指摘し、談話における「かもしれない」の効果について論じた。
2009.6.1 「リソースの拡大と言語テスト」 『漢日理論語言学研究』沈力・趙華敏主編、学苑出版社、55-63(共著者:牧原功・山岡政紀・小野正樹)
インターネットの普及による日本語学習者の学習リソースが拡大したことに伴う日本語の変異の増大に対して、大規模な言語テストがそうした変異をどう扱うべきか、問題提起した。
2008.9.1 「「途中」の意味構造について」 『日本語言文化研究 日本学框架与国際化視角』、張威主編、清華大学出版社、144-154(共著者:山岡政紀・李奇楠<北京大学副教授>)
「途中」はそれに係る連体修飾節とともに副詞節か名詞節を作る非自立的・依存的名詞である。その意味を分析し、空間的用法、時空的用法、時間的用法があることを論証した。
2008.5.1 「日常会話における不満表明の配慮表現」 『日本言語文化研究』第8集(北京大学日本語学科成立60周年国際シンポジウム論文集)、学苑出版社、448-456(共著者:山岡政紀・牧原功<群馬大学准教授>・小野正樹<筑波大学講師>)
相手から自分への与益行為に対する肯定評価である《感謝》と違って、相手から自分への与害行為に対する否定評価である《不満表明》は、人間関係を損なう危険性がある。そこで多用される危険回避のための様々な配慮ストラテジーについて、実験を交えて考察した。
2008.3.20 「発話機能論の歴史」 『日本語日本文学』第18号、創価大学日本語日本文学会、49-64 (創大リポジトリ)
言語機能論、日本語モダリティ論、日本語教育、会話分析などの諸分野で直観的把捉のもとに多用されている概念「発話機能」について、比較検討し、あるべき姿について展望した。
2007.12.1 「謝罪表現の日中対照研究」 『村木新次郎教授還暦記念論集 日本語と中国語と その体系と運用』、趙華敏・楊華・彭広陸・村木新次郎編、学苑出版社、224-236(共著者:山岡政紀・李奇楠<北京大学副教授>)
日中両語ともに多様な謝罪表現を持つが、いずれも、遂行文系、命令文系、評価文系、表出文系の四種に集約されることに見られる謝罪表現の普遍性を中心に考察した。(総論と日本語記述を山岡、中国語記述を李が担当)
2007.3.20 「発話行為と発話機能の比較」 『日本語日本文学』第17号、創価大学日本語日本文学会、1-21 (創大リポジトリ)
サールの発話行為論とハリデーの発話機能論とを比較し、両者を統合するアイデ アを提示した、“The Comparison between Speech Act and
Speech Function”の日本語翻訳版。
2006.11.1.
“The
Comparison between Speech Act and Speech Function, International Journal of
Pragmatics,” Vol.16, Pragmatics Association of
Japan, 29-45
類似した範疇を提示しているサールの発話行為論とハリデーの発話機能論とを比較し、双方の利点欠点を論じたうえで、両者を統合する新・発話機能論のアイデ
アについても提示した。
2006.3.20 「発話機能論の原理―命令・服従を例として―」 『日本語日本文学』第16号、創価大学日本語日本文学会、1-17 (創大リポジトリ)
コミュニケーションの理論である発話機能論が示す、会話参与者間の対等な関係や、語用論的条件の共有などの原理の有効性を、命令・服従の発話を例として実
証的に示した。
〔以上、創価大学教授〕
2004.3.20 「日本語における配慮表現研究の現状」pdf 『日本語日本文学』第14号、創価大学日本語日本文学会、17-39
より良好な人間関係を構築するために相手の欲求や負担に配慮することで発生する言語現象について、Brown
& Levinson のポライトネス理論から日本語に応用された配慮表現研究までを概観した。
2004.3.1 「依頼表現の日中対照研究」 『日本語言文化研究』第五集 北京大学日本文化研究所・創価大学文学部編、131-160、(共著者:山岡政紀・李奇楠〈北京大学助教授〉)
依頼の表現形式は日中両語において多様性を持つが、同時に、自己の受益性や、相手にかける負担への配慮などの含意においては普遍的である。 このことを遂行文系、疑問文系など、五分類をもとに詳細に記述した。(総論と日本語記述を山岡、中国語記述を李が担当)
2003.3.20 「可能動詞の語彙と文法的特徴」pdf 『日本語日本文学』第13号、創価大学日本語日本文学会、1-36
これまでボイス、アスペクト、意味論の3つの角度から論じられてきた可能動詞研究を、構文論と語用論の立て分けを重視することで整理し直した。
2002.3.20 「感情描写動詞の語彙と文法的特徴」pdf 『日本語日本文学』第12号、創価大学日本語日本文学会、23-54
ル形でもタ形でも感情表出文の述語となり得ない感情描写動詞(怒る、喜ぶ、楽しむ等)の文法的・意味的特徴、語彙、構文の型を記述した。
2002.1.22 「中級日本語教材における機能シラバスの原理
(3)──非漢字語彙と命令・依頼表現」 Quality Japanese Studies and Japanese Language Education in
Kanji-Using Areas in the New Century: by Society of Japanese Language
Education, Hong-Kong、471-479
日本語話者の話し言葉として日常的使用頻度が高い反面、漢字では認識されていない身体的動作の動詞(例.凭れる、銜える)の教授法について提案した。
2000.12.29
「価値動詞の語彙と文法的特徴」 『現代日本語の語彙・文法』草薙裕編 くろしお出版、225-239
テイル形が成立しないことで知られる価値動詞(値する、匹敵する、拘わる等)について、名詞句の項に価値付与する意味特徴などの文法的特徴を記述した。
2000.10.1 「関係動詞の語彙と文法的特徴──照合行為の介在をめぐって──」『日本語科学』第8号 国立国語研究所、29-52 (国研リポジトリ)〔DOI〕
関係動詞(違う、属する、意味する等)を述語とする関係叙述文にル形とテイル形が共存する理由、両者の意味の微細な違いを「照合行為」の介在をもとに論証
した。
2000.7.1 「中級日本語教材における機能シラバスの原理(2)──述語動詞「ある」の多機能性をめぐって──」 『第1届日本研究・台日關係・日語教育國際學術研討會論文
集』中国文化大学日本語文學系・日本研究、499-508
述語動詞「ある」は、共起するガ格名詞句の意味等によって多機能化することを例示し、それを中級教材に導入する方策について考察した。
2000.3.20 「感情変化動詞の語彙と文法的特徴」pdf 『日本語日本文学』第10号、創価大学日本語日本文学会、左33-43
タ形で感情表出文の述語となる感情変化動詞(弱った、腹が減った等)の文法的・意味的特徴、語彙、構文の型を記述した。
1999.6.30 「属性動詞の語彙と文法的特徴」『国語学』
197集、国語学会、左25-38 (国語学データベース)
ル形で属性叙述文の述語となる動詞(役立つ、顔が利く、目立つ等)を属性動詞として範疇化し、語彙と文法的特徴を記述した。
1999.6.25 「日本語の述語形態論――時制辞を中心に――」 『文学と教育』第37集、文学と教育の会、1-8
日本語の述語形態素の中で、時制辞だけが特殊な地位にあることを記述し、それを基礎として述語形態素全体の記述を行った。
1999.3.20 「感情表出動詞の文法的特徴」pdf 『日本語日本文学』第9号、創価大学日本語日本文学会、左47-59
感情表出動詞の特殊なアスペクト的特徴や、感情描写動詞との間でボイス的な対立が存在することなどの文法的特徴を記述した。
1999.3.1 「発話機能と発話内行為」pdf 『創価大学人文論集』第 11号、創価大学人文学会、135-154
Bulerらの言語機能論とSearleらの発話行為論の類似点・相違点を考察し、両者を止揚する発話機能論の方向性について論述した。
1998.3.20 「天理教における日本語教育の国際的展開」pdf 『比較文化研究』第15巻、創価大学比較文化研究所、113-133
日本の機関が国際的な日本語教育を行ってきた先駆的事例として、天理教日本語学校の歴史や各国での現状を調査・報告した。
1998.3.20 「感情表出動詞文の分類と語彙」pdf 『日本語日本文学』第8号、創価大学日本語日本文学会、左1-17
ル形で感情表出文の述語となる動詞(思う、腹が立つ等)を感情表出動詞として範疇化し、語彙を挙げ、構文の型ごとに提示した。
〔以上、創価大学助教授〕
1997.3.20 「経験の帰属空間と形容詞文の諸問題(3)」pdf 『日本語日本文学』第7号、創価大学日本語日本文学会、左13-34
形容詞文の意味格、感覚形容詞の意味的・構文的特徴など、残る諸問題について考察し、三回にわたる論述のまとめとした。
1996.3.20 「経験の帰属空間と形容詞文の諸問題(2)」pdf 『日本語日本文学』第6号、創価大学日本語日本文学会、左17-28
形容詞の意味素性として主観性と個別性を整理することによって、感情と属性の中間的と見られる構文の位置づけなどを論じた。
1995.5.29 「意志表現の文型提示と機能シラバス」 『華南地 域日本語教育シンポジウム論文集』
日本語教育上の機能シラバスの利点を論じ、その例として文末が動詞のル形で意志表出の機能を持つ文型の扱いについて考察した。
1995.5.26 「従属節のモダリティ」 『複文の研究(下)』仁田義雄編 くろしお出版、309-326
従属節にもモダリティを認めることによって、寺村秀夫の複文の類型における陳述度の概念が不必要であることを論証した。
1995.3.20 「経験の帰属空間と形容詞文の諸問題(1)」pdf 『日本語日本文学』第5号、創価大学日本語日本文学会、左1-14
形容詞文の記述において、内的経験と外的経験の帰属空間を区別し、主題設定を同次元の空間として処理することの整合性を述べた。
1994.10.1 「授受構文における視点と人称」 『森野宗明教授 退官記念論集言語・文学・国語教育』 三省堂、179-193
アゲル構文とクレル構文の違いである視点の位置と、視点を置きやすい人称という語用論的問題を区別して論じることを提唱した。
1994.3.20 「形容詞文の意味と知覚の主観性」pdf 『日本語日本文学』第4号、創価大学日本語日本文学会、左13-26
知覚・感情などの主観的経験を表出する際に用いる形容詞文が、主観性ゆえに持つ独特の構文的特徴について論じた。
1993.7.10 「授受構文における動作主と受益者」 『小松英雄 博士退官記念日本語学論集』 三省堂、651-666
授受構文の固有の意味格として動作主と受益者の二つを挙げ、その意味要素である意志性や受益性の性質などを考察した。
1993.3.20 「感情の問いかけと情報帰属理論」pdf 『日本語日本文学』第3号、創価大学日本語日本文学会、左38-47
感情形容詞文の人称制限の根拠に関する寺村秀夫の先行理論が不十分であることを示し、情報帰属理論を用いて解決した。
1992.7.15 「意志表現の文型提示に関する一考察――機能シ ラバスの一つの原理として」 『日本語教育』第77号、日本語教育学会、76-88
文末が動詞のル形で機能として意志表明を遂行するような文型の日本語教育上の扱いを再考し、機能シラバスへの提案とした。
〔以上、創価大学講師〕
1991.7.5 「日本語形容表現に見られる経験領域の区別」 『日本認知科学会第8回大会論文集』 日本認知科学会、30-31
情報帰属理論の具体的事例として、日本語の形容詞述語文での内的経験と外的経験との区別について考察した。
1991.3.30 「三尾砂の場の語用論的価値」 『創価大学別科紀要』5 創価大学別科日本語研修課程、15-22
かつて三尾砂が論じた場の理論が、省略やウナギ文などの語用論的現象への説明力を今でも持っていることを主張した。
1991.3.20 「情報帰属理論とその人称性に関する基礎的考察」pdf 『日本語日本文学』創刊号 創価大学日本語日本文学会、左12-23
フォコニエの心的空間論を応用した情報帰属理論の人称性に着目し、さらにそれを認知か学的に応用することを提唱した。
〔以上、創価大学助手〕
1990.1.31 「授受補助動詞と依頼行為」pdf 『文芸言語研究・言語篇』17 筑波大学文芸・言語学系、19-33
授受表現を作る三種の補助動詞と格との意味関係を記述し、成句的に用いられる依頼表現の構造的な仕組みを説明した。
〔以上、筑波大学助手〕
1989.5.31 「発話行為論とモダリティ──疑似意向文をめぐって」pdf 『言語学論叢』8 筑波大学一般・応用言語学研究室、16-28
演述文の一種が意志表明を遂行する場合の主格の省略を中心に発話行為論とモダリティとの相関を論じた。
1989.3.20 「省略における言語外情報の伝達」 『日本語教育』67 日本語教育学会、99-110
場面を命題の一部として取り込むことによる省略の諸原則について考察し、日本語教育のテクストへの応用を提案した。
1988.12.30
「疑似命令文──日本語モダリティの文法化の一事例」pdf 『日本語と日本文学』10 筑波大学国語国文学会、左11-19 〔DOI〕
演述文の一種が、命令的な機能を有する場合の、主格成分の省略などについて発話行為論をもとに説明した。
1988.5.1 「 「場」の概念」pdf 『言語学論叢』 6・7 筑波大学一般・応用言語学研究室、41-66
かつての場面論における「場」を話者間の共有情報と再定義して、省略現象に対する説明に用いた。
〔以上、筑波大学大学院〕
2024.8.24 「生命の尊厳の探究―人間学・言語学の観点から―」 『創造的人間への道―人間学を道標として』第三文明社、18-42 new
「尊厳」概念の歴史と現代的意味を言語学から探究した後、「人間の尊厳」が人間学の歴史上いかに記述されてきたかを整理し、最後に人間の本質的価値が「生命に対する尊厳心」にあることを指摘した。
2024.3.30 「人間学の探究(8)―人間の定義(2)ホモ・ロクエンス―」 『創価人間学論集』第17号、創価大学人間学会、139-156
人間学(anthropology)の系譜においてホモ・サピエンスに次ぐ第二の人間の定義として知られるホモ・ロクエンスについて、ヘルダーの『言語起源論』を中心に人間が自然言語を獲得した意義を考察した。
2022.11.20 「尊厳の記号学―尊厳心への人間学的アプローチ―」 『東洋学術研究』第61巻第2号、東洋哲学研究所、158-184
人間学・人類学(anthropology)の系譜をたどりつつ、人間なら誰でもが持つ何かを尊いと思う心(尊厳心)を人間の本質と捉え直し、人間の尊厳の中核に生命への尊厳心を置く考えを提唱した。
2021.12.20 「御書根本と信仰体験―『新・人間革命』に描かれる地涌の菩薩たち―」 『創学研究T』、創学研究所編、第三文明社、194-201
小説『新・人間革命』に登場する人物の信仰体験を取り上げ、日蓮仏法の哲学が現実の生活に体現されたものであるとして、御書根本の仏法哲理へと再解釈する試論とした。
2021.12.20 「信仰と学問の間で―それぞれの人生体験から 5創学研究所との質疑」 『創学研究T』、創学研究所編、第三文明社、317-325
創価学会学術部員が研究者でもあり信仰者でもある立場から直面する課題を述べ、信仰と学問を止揚するあり方について黒住真氏、佐藤優氏の見解を問うた。
2020.12.10 〔研究覚え書き〕「言語学から人間学へ」 『東洋学術研究』第59巻第2号、東洋哲学研究所、273
専門分化した人文科学が人間を探究するという本来の目的に迫れば迫るほど学際的になっていくことを、自身が言語学から人間学へと進出した経験を通して述べた。
2018.2.27 「人間とは何か?」 『ヒューマニティーズの復興をめざして―人間学への招待』(イントロダクション、共著者:山岡政紀・伊藤貴雄・蝶名林亮)、勁草書房、1-18
人間学の入門書と編んだ書籍の編著書3名がイントロダクションとして「人間とは何か?」を語り合う座談会。Homo sapiens(英知人)、Homo faber(創造人)、Homo ludens(遊戯人)、Homo
patiens(苦悩人)の4つの観点から人間の本質について語り合った。
2018.2.27 「生命への配慮とはどういうことか―脳死臓器移植問題を通して」 『ヒューマニティーズの復興をめざして―人間学への招待』(第1章)、勁草書房、21-36
人間とは何か?生きているとはどういうことか?を考察するための教材として、「脳死臓器移植問題」を取り上げ、生物学の立場、医学の立場、社会学、文化論、哲学、宗教など、多方面からの見解を整理した。
2015.3.16 「人間学の探究(7)―人間にとって「信じる」とは何か―」pdf 『創価人間学論集』第8号、創価大学人間学会、95-114
人は世界の有様を述べる時に無意識に「信じる」行為を行っている。ところが、この「信じる」を敢えて意識し、発話するときには、「自身の生におけるコミットメント」が表現されることを考察した。
2013.3.16 「人間学の探究(6)─脳死・臓器移植と生命の尊厳(中)─」pdf 『創価人間学論集』第6号、創価大学人間学会、61-80
1969年の和田移植事件から2009年の改正臓器移植法の成立までの日本の脳死・臓器移植史を検証しながら、「ドナー出現の期待」が脳死患者とその家族を苦しめてきた事実とその本質的な矛盾を指摘した。
2012.3.16 「人間学の探究(5)─脳死・臓器移植と生命の尊厳(上)─」pdf 『創価人間学論集』第5号、創価大学人間学会、39-53
医学の発達とともに生じた「脳死状態」を利用して臓器移植を行うために、人類は死の定義を主観的に決定するという営為を余儀なくされてきた。本稿では生命の尊厳を探究する立場からこれを再検証する。
2011.12.25 「御書現代語訳の事例研究(6)――主要大乗経典からの引用の訳案について――」 『東洋哲学研究所紀要』第27号、22-48(共著者:山岡政紀・柳沼正広〈東洋哲学研究所委嘱研究員〉)
御書中に頻出する主要大乗経典の訳案について、訳文の統一性、訳出作業の効率性の観点から、個々の経文について検証し、統一訳案や文脈による訳し分けの考え方等について考察した。
2011.3.16 「人間学の探究(4)─主観から客観を導き出す手法─」pdf 『創価人間学論集』第4号、創価大学人間学会、57-69
人間は、自身の主観を絶対的に有するのみで、他者の主観は知り得ないにもかかわらず、主観世界と客観世界とを写像のようにマッチングする手法を経験的に獲得していることを、情報帰属理論を用いて説明した。
2010.3.16 「人間学の探究(3)─人間の主観世界をめぐって─」pdf 『創価人間学論集』第3号、創価大学人間学会、1-14
人間を人間たらしめるところの主観世界を科学的に探究するという営為は、そもそもいかなる営為なのか、その質的特徴を捉えるための試論として、人間の認知活動を外的特徴と内的特徴の質的な隔たりについて考察した。
2009.3.16 「人間学の探究(2)─人間の定義(その1)─」pdf 『創価人間学論集』第2号、創価大学人間学会、109-125
近代科学の要素還元主義的なパラダイムの中で専門分化した各分野の研究者がそれぞれの分野から人間をどのように定義したかについて、リンネのHomo sapiensを出発点として概観した。
2008.3.16 「人間学の探究(1)─系譜と方法論─」pdf 『創価人間学論集』創刊号、創価大学人間学会、59-74
人間を科学的に探究する営みは、歴史上、数々行われてきた。その中から日本で自然人類学、文化人類学、哲学的人間学等と訳されている諸分野について概観し、整理を試みた。
2006.12.25 「御書現代語訳の事例研究(5)─「但し」の訳案をめぐって」 『東洋哲学研究所紀要』第22号、57-81
(共著者:山岡政紀・柳沼正広〈東洋哲学研究所委嘱研究員〉)
御書中で主に接続詞として多用される「但し」の訳出法について、御書における前後の論理関係と現代語「ただし」のそれとの違いに注目し、文脈に応じた訳出法を提案した。
2005.12.20 「御書現代語訳の事例研究(4)──法華経引用の訳案について」 『東洋哲学研究所紀要』第21号、33-53
(共著者:山岡政紀・柳沼正広〈東洋哲学研究所委嘱研究員〉)
御書中に頻出する法華経の訳案について、訳文の一定の統一性、訳出作業の効率性を確保すべきとの観点から、個々の経文について検証し、統一訳案の作成を試みた。
2004.12.20 「御書現代語訳の事例研究(3)──仏教用語の一般語への訳出」 『東洋哲学研究所紀要』第20号、45-75
(共著者:山岡政紀・柳沼正広〈東洋哲学研究所委嘱研究員〉)
仏教用語から一般語への訳出は古典語を現代語に訳すのとは質の異なる作業となる。訳出の対象とする範囲、実際の訳出の事例などを検証した。
2003.12.25 「御書現代語訳の事例研究(2)──原文から訳文への補いをめぐって」 『東洋哲学研究所紀要』第19号、22-36
御書原文にない語句を訳文で補うことは、わかりやすさにおいて有益だが、正確さの点では原文から離れてしまう。そのバランスについて考察した。
2002.12.25 「御書現代語訳の事例研究(1)──漢文訓読 法から現代語への変容」 『東洋哲学研究所紀要』第18号、43-62
堀日亨編(1952)『日蓮大聖人御書全集』発刊50年を記念して進められている現代語訳作業の諸問題に、 理論的裏付けを与えていくための事例研究の緒論。
1995.12.25 「第一人称のパラダイム――人間学諸分野の俯瞰」html 『創価大学創立二十五周年記念論文集』、492-500
主観的存在である人間の学としての心理学、認識論、認知科学などのパラダイムについて、発話行為論の人称概念を応用して概説した。
2021.12.20 〔書評〕「佐藤優著『池田大作研究 世界宗教への道を追う』」 『創学研究T』、創学研究所編、第三文明社、418-464
創価学会を知るには池田大作名誉会長の人と思想を知らねばならないとするプロテスタント神学者・佐藤優氏による大著『池田大作研究』を、創価信仰学の一形態と捉える立場から論評した。
2019.2.20 〔書評〕「松岡幹夫著『新版 日蓮仏法と池田大作の思想』」 『哲学東洋』第9号、東日本国際大学東洋思想研究所、69-77
池田大作SGI会長は小説・対談・講演・提言等、膨大な量の言説で世界に多大な影響を及ぼしてきた。日蓮仏法の人間主義を現代の普遍的な言葉で展開してきたそれらの言説を整理し、日蓮仏法へと再解釈することで池田思想の本質を探究する本書の意義について論評した。
2018.11.18 〔書評〕「ケビン・クレメンツ、池田大作著『平和の世紀へ 民衆の挑戦』」 石塚義高編『価値創造学体系序説 第二巻』幻冬舎、87-98
ニュージーランド出身の平和学者クレメンツと仏法の平和主義を講堂で体現してきた池田大作が核兵器廃絶、先住民の人権など多角的なテーマで語り合った対談の意義を紹介した。
2015.3.31 書評論文「久保進『言語行為と調整理論』」pdf 『語用論研究』第16号、日本語用論学会、67-76
会話を通じて心的不均衡状態を脱却しようとする調整行為を言語行為理論における第5の言語行為として位置づけ、その体系化を図った久保進氏の主著を紹介し、論評した。
2010.4.10 〔新刊クローズアップ〕「山岡政紀・牧原功・小野正樹著『コミュニケーションと配慮表現──日本語語用論入門』」html 『日本語学』第29巻第4号、明治書院、41
自著書評。第1部は英語圏で発達した語用論を日本語の言語現象に適用した入門書、第2部は最新のトピックである配慮表現を取り上げた研究書・啓蒙書であることを紹介した。
2005.7.1 〔書評〕「山田敏弘著『日本語のベネファクティブ──「てやる」「てくれる」「てもらう」の文法──』」pdf 『日本語の研究』第1巻第3号、日本語学会、201-207
〔DOI〕
いわゆる授受動詞の補助動詞用法による文法体系について、視点と主観性、直接構造・間接構造、参与者追跡機能などの新しい知見を展開した研究書の内容を紹介し、論評した。
2005.3.20 〔書評〕「北原保雄編『問題な日本語』」pdf html
『日本語日本文学』第15号、創価大学日本語日本文学会、49-57
『明鏡国語辞典』編者が、若者言葉など新しい日本語を取り上げ、使用の実態、発生の経緯などをわかりやすくまとめた単行本を評した。
2004.12.1 〔言語圏α〕「加藤重広著『日本語語用論のしくみ』」html 『月刊言語』第33巻第12号(通巻401号)、大修館書店、168
グライスや関連性など、普遍性をもつ語用理論の原理を言語哲学の視点を踏まえて、わかりやすく解説した語用論入門書の短評。
2004.3.31 書評論文:仁田義雄著『副詞的表現の諸相』 『日本語文法』第4巻第1号(第6号)、日本語文法学会、139-148
仁田義雄大阪外大教授の著書(2002)に対する書評。語彙論的分析が主流だった副詞研究に統語論的視点を導入している点を中心に論評した。
1997.7.1 〔書評〕「市川保子著『日本語誤用例文小辞典』」html 『月刊日本語』
第10巻第7号、アルク、94
外国人日本語学習者の誤用例文を、関連する文法項目ごとに分類し、誤用の傾向、指導のポイントをまとめた実用的小辞典の書評。
2023.7.7 「どんな配慮がある?ビジネスメールで見かける『インラインにて失礼します』にモヤッとする人も…使われる理由を教授に聞いた」 FNNプライムオンラインnew
2022.11.8 「PSJと語用論の発展のために」『日本語用論学会 Newsletter』第48号 日本語用論学会広報委員会
2020.3.20 「師と出会い、師から学ぶ」『いがぐり』第59号 東北大学文学部・大学院文学研究科
国語学研究室
2019.1.2 「「鬼才」「奇才」「天才」……、才能を表す言葉はどれが一番上なの?」 教えて!gooウォッチ(ニコニコニュース)
2012.7.1 「日本語って外国語より難しい?」『少年少女きぼう新聞』2012年7月1日号(みんなの大疑問)、聖教新聞社
2008.4.10 「いまどきのローティーン用語」『灯台』2008年5月号〈特集・ティーン雑誌の世界〉、第三文明社
2004.11.1 「特集32:動詞意志形にみられる発話機能の多様化」
「特集34:条件表現の応用「〜ばと思います」の機能」
「特集46:謝罪表現の形式と配慮」
『月刊言語』第33巻第11号(通巻400号)、創刊400号記念特集・日本語総点検〈正しい日本語なのに、何かちょっとヘン?〉、大修館書店、88-89(32)、92-93(34)、116-117(46)
2018.10.20 『日本語学大辞典』 「機能文法」「発話行為」の項担当(記名原稿) 日本語学会編 東京堂出版、212-213(機能文法)、749-750(発話行為)
2014.7.10 『日本語文法事典』 「発話機能」の項担当(記名原稿) 日本語文法学会編 大修館書店、498-499
2002.12.10 『明鏡国語辞典』(第一版) 形容詞の項目執筆 北原保雄編 大修館書店
1993.3.10 『日本語実用辞典』(The AOTS Nihongo Dictionary for Practical Use) 玉村文郎編纂主任 スリーエーネットワーク
1990.2.15 『新版小学国語辞典』 柴田武監修 教育同人社