2015年5月17日(日)、12時ごろから約2時間、葛飾区水元公園の放射線調査を行った。この地へ来るのは4年前の8月下旬に当時の4年生6名をつれてきて調査して
以来。
下記は当時の測定中の画像。
この調査は、桐山ゼミの現3年生がこれから実施する本調 査のための予備的なもので あ る。
この日、大阪市では都構想の是非を問う住民投票が行われていた。投票の結果、都構想は否決された。暮らしへの不安などから、女性や高齢者の反
対票などが原因と
みられる。有権者数210万4076人の投票率は66.8%。賛成694,844、反対705,585となり、差は1万741票という僅差で、おそらく比率の
検定にかけても有意差は出ない。しかし、この結果は重く受け取らねばならないだろう。内訳は、男性は賛成55.5%、女性は
反対52.0%と賛否が逆転、年代別では、20~50代で賛成が5割を超えたが、60代は51.8%が反対、70歳以上は63.8%が反対に。
公園は家族づれやカップルでいっぱい。1人で行ったこと、測定することは場違いな感じが自分でもした。しかし、私は事実を知るために来た。
測定器は、クリアパルスA2700(購入時に校正済み)を
用い、下記に示す値は 5~10回程度の測定における指示値の幅を示す。空間線量率の単位は、μSv/h(マイクロシーベルト毎時)で あり
以下の略記を行った。
例) 0.085μSv/h → 85
0.155μSv/h → 155 など
創価大学教職大学院4Fの教材開発室内では、およそ0.080μSv/hであり、この場合は80と表記される。(外に出てもこのくらいの値になる)
測定時に写真は全部で50枚近く撮った。画像の下の番号は測定順を示す通し番号。下記にそのうち、いくつかの測定値と写真を紹介する。
ベンチの上で(地上30cmくらい) 94~105
地上 152~154 地上が高いのは、土に放射能があるからに他ならない。
地上1m 99~109
地上 155~164 値の変動が大きい。風が原因か?
道ばたの丸い石のつながりの外側は除染のあとか。土がへこんでいる。新しい土が露出している。
右側の林に。
地上1m 198~202 ここは高い。
大きな杉の木の近くの土の上で。435まで上がる。この場所の土を採取。硫カリをPA1000の簡易放射能測定容器に入れたときの測定値(800Bq/kgで
約 0.05μSv/hの上昇)から見積もると、8000Bq/kg程度のものか。それなら産業廃棄できないレベルかもしれない。
鳥を観察する所に着いたが、一時、70~80くらいまで下がる。少しして、110くらいに。風が吹いてきたように感じた。このあたりは人が集まり止まるとこ ろ。除 染効果が出ているのか?
たくさんの人が、花崗岩のベンチにすわっている。花崗岩の石畳に測定器を置く。139~159
そのあと、地上40cmくらいの高さのベンチの上に。次は時系列で追った指示値。
151(置いた直
後)→137→135→134→127(↓)→129→129→127(↑)→130→138→137→142(↑)→140(↓)131→129→118→119→128→・・・・
ここで、(↓)は風がなくなり、(↑)は風が出てきた(感じた)とき。放射線量は、風がなくなった後に低下し、出てきた後に上昇しているようにも見える。こん
な測 定では何とも言えないが、もし風で放射性物質が舞い上がっているなら、知らないうちに吸入しているのかも。
石畳のところの四角いコーナー、なかに木が2本。ここも高かった。
地上1m 186~192
地上(コーナーの土の上) 615~624
ここが一番高かった。コーナーの近くのベンチに人が座ったり、近くに自転車を止めたり、高齢者がしゃべっていたり・・・ ここも人が集まるところ。小さい子ど
もづ れもいる。数値から考えると、このコーナーには近寄るべきではない。また、土などに触れない方がよい。
1mの高さでも土の上でも50~60程度の値が。水元公園で採取した土の近くに測定器を置くとすぐに3~4倍の値に。この土をどこに保 管しようかと悩む。
今回の調査は下記の地点(○印)で行った。
結論1:測定した地点の空間線量率は、
0.1~0.2μSv/h程度であった。これは八王子の自宅付近の値に対して、2~4倍に相当する。
結論2:土壌の上では高いところでは、
0.4~0.6μSv/h程度になった。その土壌では、8000Bq/kgを越える可能性が示唆された。
感想:人がたくさん集まる水元公園は、庶民の憩いの場。人々は放射能を気にしているようには見えなかった。空間線量は福 島よりは低いが、明らかに事故前(文部 科学 省HP:放射線計測協会の“はかるくん”による測定の平均値は、東京都0.038μSv/h)の3~7倍の値が得られたことも事実である。特に土は場所によっては 触ってはいけないレベルの所もあった。したがって、行政は しっかり測定を行って、場合によっては。「この場所の土に触れないように!!」など注意を喚起する必 要が あるのではないかと思われる。特に子ども達に。それが人間を護ることになり、引いては都の発展にもつながっていくのではなかろうか。
追記:後日(6月1日) 行った簡易測定で、採取した土壌からおよそ 8000Bq/kgという値が出ていたが、後日の校正により、約5500Bq/kg含むことが分 かった(厳密な数値ではない)。この値が正しいとすれば、1m2あたりに直 すと28万Bq/m2にもなり、福 島の土壌汚染の平均値(≒31万Bq/m2 桐山:生活科学 参照)に近い。念のためにことわっておくが、このような土壌が水元公園い ちえんに広がっているわけではない。
(1)測定地点を増やし、公園内の全領域を測定する必要がある。
(2)水辺の反対側の測定。
(3)水の放射能測定。
(4)測定結果の発信・行政への働きかけ
特に(3)は重要である。写真③のように、園内には小さな川がたくさんあり、多くの人が釣りをしたり魚を捕ったりしていて水に触れている。また、家族づれが
捕った魚を水と一緒に容器に入れて持ち帰ったりしている。小さい子どもが水に手足をつけるようなことも考えられる。も
し水に放射能があれば、こういう行為による内部被曝も否定できなくなるからである。