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桐山ゼミ4年生による水元公園調査

1 調査の概要

桐山ゼミ(4年生)は、2015年8月 1日(土)、公園の放射能調査を行った。水元公園は、東京都葛飾区水元公園3-1、京成「金町」、JR「金町」駅より徒歩20分の位置にある。調 査内容は、
 ・空間線量率の測定(地上と1mの位置)
 ・土壌と水のサンプル採取(放射能測定、γ線スペクトル観察)
である。

2 測定方法

空間線量率は次のように測定している。
 ①測定地点に着いたら1分待つ。
 ②1mの位置に測定器を水平にもち、30秒経過ごとに6回測定する。
 ③地上に測定器を置き(紙を敷いた上に測定器を)、1分待つ。
 ④30秒経過ごとに6回測定する。
 ⑤測定中に、周囲の情報を書き込み写真を撮る。
土壌・水採取の方法は次の通り。
 ①人が集まる場所やその近傍の土壌・水を1ℓ程度採取する。測定後は土壌・水を元の場所に戻す。
 ②念のため土壌は直接手で触れないよう採取時には注意する。
 ③土壌はまずビニール袋に入れ、それをポリボックスに入れる。
 ④水はペットボトルに入れ、蓋を固く閉めてビニール袋に入れる。水に触れた場合、手をよく洗うこと。
 ⑤測定中に、周囲の情報を書き込み写真を撮る。
 ⑥ポリボックス、ペットボトルに試料の情報を記したラベルを貼る。
なお、採取した水、土壌はできるだけすみやかに測定にかける。
3年生・教職大学院生による次回調査は、2015年10月 17日(土)に実施する。下記のマップのように調査地点の分担をしている。ここでは、4年生の調査で分かったことから2つ紹介してみたい。
分担 
マップ引用:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/map041.html

3 4年生調査で分かったことから

 空間線量率は、訪れた場所では0.08~0.20μSv/h程度であり、2年前に訪れたときよりはかなり低減しているように感じられた。筆者の勤務する教 職 大学 院の近くでは0.07~0.09μSv/h程度であるから、それほどかわらない。詳細は後日に報告する。メタセコイヤの森に近い橋の下で、水辺の土壌を採取した。 橋の上に4年生、筆者が土壌を採取。
採取

ここの土壌から、1150±123Bq/kgの放射能が検出された。

教職大学院駐車 場そばの土壌の値(150~300Bq/kg程度)と比べると、3~5倍の濃度である。水辺の土ということで、放射能が水に流れて値は低いと思われたが結果は違っていた。空 間 線量率では八王子とほとんど変わらなくても、土壌には放射能が残っているのではないかと推測させるデータであった。5月17日の事 前 調査のページで報告したように、メタセコイヤの林の中の 土壌 から、5538±238 Bq/kgの高い放射能が検出されている。水も採取しているので、後日に報告したい。
 次に記念広場での測定であるが、ここはお年寄りや家族ずれなど人も多い。石のベンチに腰掛けて休憩する人も多いのでは。石のベンチの上にクリアパルスの A2702を置いて、空気中のγ線スペクトルを調べた。簡単に言うと、土壌などから“何の元素から出たγ線”が飛んできているのかを調べている。
γ線測定 
 結果をエクセルのグラフにして下記に示す。横軸のγ線のエネルギーが600~700keV(キロ電子ボルト)あたりに小さなピークが認められる。こ のピーク は、人 工放射性核種Cs(セシウム)が示す特徴的な形である。これは、土壌には4年半前に福島原発から飛んできたCsがま ぎれもなく存在することを示すデータである。勤 務先で同様の測定をしても、このような明確なピークは観察されない。
(150keVあたりに大きなピークをもつ山形は、自然放射線もふくむ様々なγ線のコンプトン散乱などによる影響が積み重なった結果、あるいは光電子増倍の装 置特 有の感度からくる結果で、特定の元素によるピークではない。)
こういうデータからしても、空間線量率の値だけから放射能汚染の事実を把握することはできないことが分かるだろう。
γ線データ

 水元公園でくつろぐ人々を見ていると、放射能に気を付けているようには見えない。福島原発事故は忘れ去られたように思える。最近は報道も ほとんどされな い。し か し、土壌には放射能が飛んできた記憶が しっかり残っている。風の強い日は土が空気中に舞っているのではないかと懸念される。そんな日は、子どもにはせめて マスクをさせたいと思 う。
 

4 今後の活動

次回の調査が終わった段階で、社会還元活動として、
・HP、SNSなどによる、事実に基づく踏み越えない広報を行う。
・調査結果を葛飾区役所に持参し、参考資料にしてもらう。
 危険な個所が出た場合、立ち入らないように、触らないように 注意喚起してもらうよう(立て札など)お願いすることも考えている。