パロール parole


個人の一回限りの言語活動を意味する術語。ソシュールF.de Saussureによる。言語には社会的側面(ラング)があり、それを第一の研究対象とした。しかしながら、そうしたラングは、やはり一回一回の具体的な実現としてしか現れないのであり、そうしたラングの具体的実現を捉えた用語と言える。ソシュール以後の言語学ではパロールの理論を発展させなかった(ソシュールは、ジュネーブに戻ってからアナグラム研究に没頭し、著作を一切公表しなかった。それを、パロール研究と見なす研究者もいる)が、言語には、文体や個人の意志、言語変化など、一般化できない一回的な部分があり、それを究明する観点としても重要である。