ラング langue


社会的側面から見た言語のことで、言語学が解明すべき研究対象。言語学の研究対象が「言語」であるのは当然のことである。しかし、言語の定義には種々のものがあり、近代言語学は、ソシュールF.de Saussureによってラングとしての言語を研究する学問分野と規定された。言語の使用は、ある特定の個人が行う営みではあるが、他人とコミュニケーションを取るために行うという点で、個人を超えた社会的な広がりを持つ。その点から言うならば、言語は個人に所属しているというよりも、その言語社会が共有している実在である。言語の研究とは、そうした意味での言語の体系を究明することであり、一回限りの個々の言語現象(パロール)は、最初の研究対象でないという見解を示した。なお、ラングとパロールを包括する概念として、ランガージュ(language 言語活動)という用語がある。