文学部人間学科の共通専門科目「人間学」の授業が6月23日(木)大教室棟で行われ、大相撲の元大関琴風の尾車親方が「人生8勝7敗-最後に勝てばよい」と題し講演を行いました。
尾車親方は昭和46年7月場所に14才で中学生力士として初土俵し、53年1月場所には20才8ヶ月(大相撲史上4番目の年少記録)で関脇に昇進。しか し、同年11月場所で左膝じん帯断裂の重症を負い休場。54年7月場所には幕下30枚目まで落ちますが55年初場所再入幕、5月場所には再関脇と奇跡の復 活を果たしています。そして56年9月場所で初優勝、念願の大関に昇進し、58年1月場所で2度目の優勝をしました。「がぶり寄り」を武器に、度重なる膝 の怪我に悩まされながらも見事大関まで昇進した力士です。60年11月場所で大関琴風を引退し、8代目年寄・尾車を襲名。佐渡ヶ嶽部屋の部屋付き親方とな り、62年3月、佐渡ヶ嶽部屋から独立して尾車部屋を創設しました。以降、関脇・豪風、関脇・嘉風などなどこれまでに多数の関取を輩出しています。
講演では、厳しい勝負の世界で勝ち抜いていくために、想像を絶する努力と苦労の積み重ねで勝ちすすんできた実体験を語りました。特に、左膝じん帯断裂と いう大怪我で関脇から幕下まで陥落したときの絶望感と、それを乗り越えさせようと師匠の佐渡ケ嶽親方(元横綱琴櫻)が火の出るような叱咤激励をしてくれた エピソードは説得力にあふれ、聴講した学生たちも真剣に聴き入っていました。尾車親方は「私も親方という立場になって、どれだけの思いで師匠が自分を厳し く育ててきてくれたか、その深い愛情に気付くことができました。厳しさは自分を成長させてくれる1番のカンフル剤です。みなさんにはこれから素晴らしい未 来と人生が広がっています。しかし、その過程を歩む中で高いハードルが立ちはだかることがあるかもしれません。もう無理だと思った時がチャンスです。もう ダメだと退きたくなるそんな時こそ、絶対に諦めず、自分を信じて前へ進んでいってください」と励ましを送りました。講演終了後は、学生から沢山の質問が寄 せられました。
人間学の授業では「人間とは何か」との総合的視座の探求を目指し、様々な分野で活躍されている著名人をお招きし、講演を行っています。これまでに、歌手 であり、平和活動家、また教育学博士であるアグネス・チャンさんや、女優・歌手で大阪芸術大学芸術学部教授の島田歌穂さん、NHK連続テレビ小説『あさが 来た』(※1)の原案『小説 土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯』の作者である、作家の古川智映子さん等も授業を担当しています。
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