小泉首相はアジアへの友情こそ示すべき──靖国参拝に抗議して──



 戦後61回目の終戦記念日に当たる本日、小泉首相はとうとう靖国神社参拝を敢行した。戦没者への慰霊と言うが、戦没者は日本だけでなく世界中に大勢いる。特にアジアには、戦時中の日本軍の侵攻によって尊い命を落とした方々が数えきれないほどいる。過去の反省に立って不戦の誓いをすると言うならば、その方々への慰霊こそが先決ではないか。靖国がその場所として適切でないことは論を待たない。

 首相自身は「心の問題」とも強調しているが、誰も見ていない自宅で一人黙想するのならともかく、全国民が注視し、まして中韓両国が強く制止するなかでの今回の強行が、「心の問題」で済まされるわけがない。

 中国・韓国は日本に文化を伝えてくれた恩人の国であり、今なお多くの文化を共有する兄弟の国である。中国には、かつて戦後補償を放棄して日中国交正常化に合意してくれた“借り”さえある。そうした友国に対する畏敬、友情の念を、国民の誰よりも率先して表現することが国家指導者の責務ではないか。今回の靖国参拝強行は、それとあまりにも正反対の愚行と言わざるを得ない。隣国の友に、これが日本国民全員の心ではないことを知ってほしい。そして、平和への友好協力を諦めないでほしい。そう願わずにはいられない。

2006.8.15

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