パソコンの誕生は70年代である。それ以前から大型コンピューターの仕事に従事してきた著者はパソコンの登場を熱望した一人であった。そして、その後の短期間の急速な発展を実感してきた著者の感慨が本書から伝わってくる。 ユーザではなくとも、情報化時代の象徴的存在として、パソコンが一体何物であるかという素人的な知識を一応得ておきたいという人は少なくないだろう。本書はそのような人のための格好の入門書である。また、一機種に限らない全体的な状況を把握したいユーザにとっても、パソコン誕生の歴史などをはじめ、硬軟両ウェアにわたって整理された情報が有意義だろう。歴史の中では、OSのソフト・ウェアとしてMS−DOSがこれほど広く普及した要因が、実に偶然的な、ソフト開発者とIBMとの駆け引きの結果だったということなどは特に興味深い。しかし、そのIBMもついに最新機種にOS/2という新しいOSを採用した。著者と共に人間の夢を次々に拡大するパソコンの将来を展望することもまた楽しい。