読売新聞日曜版に三年間百五十回にわたって連載された「地球 宇宙」をまとめたもの。
果てしなく広大な宇宙の中で、私達人間が見、聞き、知ることのできる事象というのはあまりにもわずかのことに過ぎない。宇宙における様々な距離、温度、重力、スピード、エネルギーなど、どれをとっても人間の認知を超えた、想像だにできない事象に満ちている。しかし、それこそが人間が誕生するより遥か昔からのこの宇宙のありのままの姿なのである。本書はその宇宙を月からブラックホールに至るまで、ちょうど宇宙船に乗って旅行するかのようにパノラマにして見せてくれる。かなり専門的な宇宙科学の知識がちりばめられているが、美しいカラーの写真や絵に、飽きを感じないばかりか、記事の専門性を忘れて読みふけることができる。ただ、太陽、地球の有限性を乗り越える素朴な願望として宇宙都市を唱っている点は、私なら人間生命の内側へ眼を向けたいところだ。