山岡政紀 書評集No.17


『中国気功法』 張恵民著/日本気功協会訳/徳間書店刊/1988年9月30日発行/定価880

 三千年来の古くから中国に伝わる気功法は、人間の能力を飛躍的に開発する技法である。身体に針を指しても全く痛みを感じないばかりか、自分の意志で出血を止めることもできれば、焼けた石炭を握っても全くやけどにならない、等の気功法実演の驚異的な事例が、まず紹介される。しかし、本書の狙いは、むしろそのような事例から受ける一種の呪術のような神秘的な印象を改めさせることにあるらしく、随所に、「気」の科学的な分析による、現象の裏付けを試みている。それによると、「気」は遠赤外線、静電気などの電気エネルギーだという。また、「気」が意識と、他者をも含めた身体を明確に連絡していることから、その解明はニュー・サイエンスとしても興味深い。科学がまだ追い付いていない現象をすべて神秘であると片付けてはならない。本書から、気功が決して宗教的レベルのものではなく、生命活動の表層における合理的現象であることを知ることが重要である。 


創価大学ホームページへ
山岡ホームページ