山岡政紀 書評集No.11


『ヒトと機械はどう対話するか』樋渡涓二著/講談社刊(ブルー・バックス)1988 420日発行/定価600

 機械は人間のように自律的なシステムではないから、人間がそれを使うのに適するように仕組まれなければならない。特にコンピューターは、人間の感覚・知覚・認知などの機構と相補的な関係をとりながら、その全体が一つの大きな情報系として連動している。その際のコンピューターと人間の接点(例えば端末の画面と視覚機構との関係)としてのシステムをマン・マシン・インターフェイスといい、その解説が本書のテーマとなっている。従って、言い古された人間とコンピューターの機構の比較のみではなく、いかに補い合うかに、より関心がある。このような観点から描き出した人間の認知機構の特色としては、種々の物理的事象に対する感覚が、質的な判断に長けているが計量性が甚だ弱いこと、情報処理の速度は遅いが事態の変化に即応する柔軟性に長けていること、種々の情報からの総合的判断に長けていること、などが挙げられており、人間工学入門としても興味深い。


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