欧州の異端児トルコ

 出場国32ヶ国の公用語一覧で一際目を引くのは、印欧語を公用語としない少数派6ヶ国の一つに、欧州予選を勝ち抜いたトルコが入っていることである。

 トルコ語は、カザフ語、ウズベク語、キルギス語などの中央アジア諸語と同系列とされるが、これらをトルコ語系の言語の意味でチュルク語派という。さらに、モンゴル語派やツングース語派の諸言語などを合わせてアルタイ語族という。

 トルコというとイスラム圏の印象が強く中東地域のイメージがあるが、言語的に見るとその位置は一層明確なわけである。

 不思議なことは朝鮮語と日本語も同じアルタイ語族に属するという説が根強いことである。印欧諸語どうしの類縁関係から見れば、朝鮮語と日本語の関係すら遠い親戚のようなものだが、更に遠い遠い親戚関係がシベリア、モンゴル、中央アジアとわたって、その西端がトルコに達しているというから驚きである。

 そう言えば、トルコ代表チームの選手の顔は欧州というよりアジア的である。トルコのバシュテュルク選手は日本の森島選手とそっくりだなどと評された。

 開催国である日本も韓国もこのトルコに敗れたが、トルコは非常にモダンな組織サッカーをするチームで、ブラジル戦でも、3,4人の中盤の選手が全速力で前進しながらの速いパス回しを魅せてくれた。それはあたかもラグビーのパスを彷彿とさせ、美しかった。

 このトルコが欧州サッカーの新しい風として台頭したことは、世界のサッカー地図の変動に期待を抱かせてくれる象徴的なできごとと受け止めたい。

 アジア予選を競う強豪国は、日本、韓国、中国などの東アジア、イラン、イラク、サウジアラビアなどの西アジアに二分されるというが、トルコの台頭は、アジア第三勢力と言われるカザフスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア勢の可能性を感じさせてくれるものである。
 

2002.7.6


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