前回(11月6日)記したように、創価大学はFD活動が盛んな大学です。私自身、創価大学の教員になっていなかったら、例えば筑波大学でそのまま教授となっていたとしたら、こんなに自身の教育力を高める努力を払わなかったのではないかと思います。
創価大学が学内で定期的に開催しているFDセミナーには、教育活動の先進的な開発を進めているトップランナーをたびたび招聘して講演してもらっています。特に一昨年2013年には印象的なFDセミナーが二度ありました。
2013年4月26日、国際基督教大学前学長(現・国際教養大学学長)の鈴木典比古氏を招き、「21世紀に向かう大学改革と教育の質保証」とのテーマで講演していただきました。
その当時、創価大学でも授業科目に番号をつける「ナンバリング」に取り組んでいましたが、その目的は大学授業科目の国際通用性を保証するためであり、具体的に留学先で取得した単位を読み替える際に役立つということがよくわかりました。また、GPA制度(Grade Point Average=成績評価の平均値)の目的や効果に関する説明も説得力がありました。創価大学ではGPAの数値を元に成績不振者を早期に発見してアカデミックアドバイザーの教授が面談する制度が確立していますが、これはまさに鈴木氏が述べるGPA制度の効用そのものであると思いました。
2013年12月14日は、関西国際大学学長・理事長の濱名篤氏を招き、「主体的な学びのための教学マネジメントの構築」と題する講演をいただきました。その情熱的な語りもインパクトがありましたが、それ以上にそこで語られる教学マネジメントの合理性と、新しさにこそ強い感銘を受けました。
特に強調されていたのは、学修成果を可視化する、ということ。そのためのシラバスであり、ポートフォリオであり、さらにベンチマーク、ルーブリックの意義についてです。例えば、ルーブリックとは何段階(例えば5段階)の評価基準を項目別に文章化して一覧表の形式で示し、その該当項目をマークすることで学力測定を行う評価法のことです。
このような方法を通じて、自分自身が授業を受ける中で到達目標をどの程度達成してきているのかをはっきり見えるようにすることは、自身の能力に対するモニター効果を高め、成長への目標設定やインセンティブ獲得に効果がある、ということです。関西国際大学で活用されている「コモン・ルーブリック」も見せてもらいました。これを各科目の担当教授は当該科目の実情に沿うように自由に改変し、学生はそれをチェックすることによって自身の到達度を測るわけです。そうやって、学生の到達度を教授も学生自身も常に意識することができます。
このようにFDフォーラムで学んだことは自分の授業にすぐに活かすように心がけています。合理的に、システマティックにやっていくことも、授業の質向上に活かすことができ、一人の学生を大切に育成するという創価大学の教育理念にもよく合致していると思うのです。
2015.11.10
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