文学部授業でNHK連続テレビ小説『あさが来た』の原作者 古川智映子さんが講演

文学部授業でNHK連続テレビ小説『あさが来た』の原作者 古川智映子さんが講演

平成28512日、文学部人間学科1年次授業科目「人間学」において、NHK連続テレビ小説『あさが来た』(※1)の 原案『小説 土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯』(潮出版社、1988)の作者である、作家の古川智映子さん(日本文藝家協会会員、ヴィクトル・ユゴー文化賞受賞、潮出版文 化賞受賞)による講演会が行われました。古川さんは「時代の先駆者たれ~広岡浅子の生涯を通して~」と題し、広岡浅子の生涯、また自身の歩んだ生涯を振り 返りながら、約60分間にわたって懇談的に講演を行いました。

講演の前半ではまず広岡浅子の生涯を概観。幕末から明治にかけて女性の社会的地位が著しく低い時代にあって、広岡浅子はその勇気と行動力で次々に新たな事 業を開拓します。1888年(明治21年)には加島銀行を設立。1902年(明治35年)には大同生命創業に参画。また、当時非常に遅れていた女子教育の 確立にも力を注ぎ、1901年(明治34年)の日本女子大学校(現・ 日本女子大学)設立に尽力しました。こうした広岡浅子の生涯を、当時の貴重な資料写真を紹介しながら、わかりやすく語られました。

後半では、『小説 土佐堀川』の執筆のきっかけとなったご自身の体験から今日のNHK放送の大ヒットまでに至るエピソードを語られました。古川さんが三十代の当時、離婚を経 験して最も苦境にあった最中に、自分と同じように時代に埋もれてしまっている女性の生き様を小説に書いていこうと決意。そして、『大日本女性人名辞書』 (作高群逸枝)の中に広岡浅子という女傑の存在を見出し、懸命な調査活動の末に『小説 土佐堀川』を一気に書きあげたとのこと。その後、出版を支援してくれた恩師との出会いや、出版後20年以上を経てNHKプロデューサーの目に止まり、ドラ マ化が決定した経緯まで、貴重な秘話を紹介されました。

講演の中で古川さんが強調したのは、小説中にも使われた「九転十起」の言葉。広岡浅子のように、人生の中で何度倒れても、必ずまた立ち上がって生き抜いて いくこと。それは、どんな不幸に見舞われても、作品執筆を通して生き抜き、遂には全国の視聴者に喜びを送るまでに結実した古川さん自身の実人生そのもので もありました。優しい語り口の中にも説得力に満ちた古川さんの一言一言に、学生達は肯きながら真剣に耳を傾けました。

その後、学生たちからの相次ぐ質問にも丁寧に答えられた後、学生の発案により、NHK『あさが来た』の主題歌「365日の紙飛行機」(AKB48)を全員 で感謝を込めて合唱。最後に学生の代表から花束を贈呈し、大拍手に包まれて講演会は終了。文学部生の心に残る、感動の出会いの一日となりました。

※『あさが来た』は、2015928日~201642日放送。放送期間平均視聴率は23.5%となり、2002年前期放送の『さくら』の23.3%を超え、連続テレビ小説としては今世紀最高の視聴率を記録。

活発に質疑応答が                      

365日の紙飛行機」を全員で合唱