アジア太平洋シンポジウムに寄せて

学生部長 山岡政紀


東南アジア研究会主催 第11回アジア太平洋シンポジウム 2010.12.5

 

 伝統ある「アジア太平洋シンポジウム」が回を重ね、本年もまた第11回の大会を開催されますことを、まずは心よりお祝い申し上げたいと思います。

 本年、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が横浜で開催されました。加盟各国ともにアジア太平洋地域のよき協力関係を築こうと、1989年のAPEC発足以来、積極的に参加しています。しかし、本年のAPECほど、日本と近隣諸国との間に緊張感の漂う会議はなかったのではないかと思います。9月に発生した中国漁船衝突問題に端を発する尖閣諸島問題や、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問が、マスコミでも大きく報じられ、アジア太平洋地域の平和と共生のために、乗り越えなければならない課題が、いまだ厳然とあることを痛感させられたのは私だけではなかったでしょう。

 

2012年にはロシアのウラジオストクで、同国初のAPEC首脳会議が開催されることになりました。本年10月には、その記念イベントに出演依頼を受けた本学のクルーダンス部の代表メンバーと共に、彼の地を訪れました。私たちは温かい歓迎を受け、ロシアが身近な隣国であることを実感しました。今思うことは、領土問題はどちらの側の視点から見るかによって全く異なる結論に到る、誠に難しい多元的問題であるということです。

 

話は変わりますが、1114日に「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」が広島市で開催され、本学学生も主催者からの招待を受け、代表5名が参加しました。セッションの中で、本学学生が「外交の手段とされてきた核兵器に代わる平和的外交手段はあるのでしょうか」と質問したのに対し、黒人解放を実現した南アフリカのデクラーク元大統領は「対立する敵同士が同じテーブルに着いて、相手の立場を理解しながら解決策を見つける対話こそが平和的外交手段だ」と答え、会場より賛同の拍手が湧きました。

 

創立者池田大作先生の50年に及ぶ平和行動もまた、すべては誠実なる対話に集約されると拝します。対話とは、自身の立場を主張する前に、まず相手の立場を理解することから始めなければなりません。しかし、そのためには相手を信頼する勇気が必要となります。本日のシンポジウムのテーマは「勇気の波動!」であると伺いました。自身の勇気が相手にも伝わり、そこに誠実な信頼が生まれます。その道を歩んで来られた創立者の後を継ぐべく、未来を担う青年の皆さんが大いに語り合い、確かな希望を確認する一日とされますことを心から願ってやみません。本大会の盛会を心よりお祈りし、私のご挨拶と致します。

 

 

東南アジア研究会主催 第10回アジア太平洋シンポジウム 2009.11.22

 

 本日は、第10回アジア太平洋シンポジウムの開催、誠におめでとうございます。

 本シンポジウムは、世界平和への志を高く掲げる学生の皆さんが集い、日頃の研鑽の成果を披露し、互いに啓発し合い、切磋琢磨する有意義なイベントとして、内外から高く評価され、注目されています。特に本年、第10回を迎えられますことは、主催者である東南アジア研究会をはじめとする、アジア・太平洋地域に関りのある各クラブの学生、卒業生、すべての学友の皆様の努力と研鑽の賜物であると、深く敬意を表するものであります。

 

 本学の創立者・池田大作先生が、今を遡ること49年前、1960年に世界への平和旅の第一歩を記されたのが、太平洋に浮かぶハワイでありました。誰も憧れる常夏の島ハワイですが、第二次世界大戦開戦の火蓋を切った奇襲攻撃の地でもありました。世界を見渡してみても、血で血を洗う紛争というものは、遠く離れた異境の国どうしよりも、地理的、民族的、文化的に近親性の高い隣国どうしでまず起きるものです。日本もまた、第二次世界大戦の際に、隣国との不幸な歴史を持っています。池田先生の半世紀にも及ぶ平和行動も、1972年の国交正常化に大きな役割を果たされた日中関係、1974年に国境対立の調停役を果たされた中ソ関係など、アジア地域における隣国どうしの友好構築を常に基軸とされていました。創立者がわが創価大学を開学して下さったのはその最中のことであり、建学の三指針の一つ「人類の平和を守るフォートレスたれ」には、この道を共に戦い、後継する友を育てんとする深い思いが込められていると拝察されます。90年代以降は本学を拠点として隣国・韓国や台湾との文化交流・学術交流を展開してくださいました。不幸な対立の歴史を深き友好と信頼の歴史に変えゆかぬとする力強い精神に満ち溢れたこのキャンパスで学び、切磋琢磨する皆さんの使命の深さはいかばかりかと思わずにはおれません。

 

 現在、このアジア太平洋地域には、まだまだ数多くの国家間対立、民族対立が存在します。本日のシンポジウムに集った私たちがその実態や歴史的経緯を虚心に学び、その先にある平和への道を力強く探究し、具体的行動を起こすことのできる人材たるべく、透徹した世界観、強靱な精神力、そして語学力を涵養していただきたいと念願しております。

最後に、本字のシンポジウムの盛会とご参集の皆様のご発展をご祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

 


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