細胞単離Disk

単一細胞レベルで機能解析を行うためには、多数の細胞を迅速に単離する技術が必要です。本研究では、従来のセルソーターやマニピュレーター[1-3]に比べ、大幅な小型化・低価格化による分析の利便性向上を目指してます。

現在開発されている細胞の分離・単離の方法は多くがマイクロポンプを送液のために使用するものです[4]。しかし、本研究ではCompact Disk(CD)型のデバイス回転させることで遠心力によって内側から外側へ送液するために、マイクロポンプを必要とせず、容易にいくつもの反応を同時に行うことが可能となりました。

 このようなCD型のDiskにジグザグにメインの流路を作り、その流路に沿って多数のマイクロチャンバーを房状につけたマイクロウェルアレイ型流路に作製しました。細胞はこの流路を流れるときに、流路に沿ってつけられた多数のマイクロチャンバー内に確率的に単離されることが確認されました。(図1、2)

図1 マイクロウェルアレイ型流路と細胞単離のイメージ

図2 マイクロチャンバー内に単離された大腸菌(左)とヒト急性白血病T細胞(右)

 このようにして、大腸菌やサルモネラなどの食中毒を引き起こす細菌を単離し、その濃度を迅速に確認することで細菌検出センサーを開発できる可能性が示唆されます。 またヒト急性白血病T細胞のようなヒト細胞も同じDiskで単離する事が可能です。このことからこのDiskは多くの種類の細胞を単離する事ができる可能性をも示唆し、このDisk上で細胞を培養することにより、細胞の増殖の度合いから細胞の活性を測定するセンサーとしての可能性も期待されます。

References

(1)“Single Cell Isolation on a Centrifugal Flow Disk with Integrated Tandem Microchambers”,
S. Furutani, H. Nagai and *I. Kubo, Sensor Letters, 6, 961-965 (2008)

(2)“The Activity Determination of Single Cell by Isolation and Cultivation on a Centrifugal Flow Disk”,
*I. Kubo, S. Furutani and H. Nagai, ECS Transactions, 16(17), 1-8 (2009)

(3)“Compact disk (CD)-shaped device for single cell isolation and PCR of a specific gene in the isolated cell”,S. Furutani, H. Nagai, Y. Takamura and I. Kubo, Anal. Bioanal. Chem., 398, 2997-3004 (2010)