クラブ内恋愛について

学生部長 山岡政紀

 

Q1 クラブ内での男女恋愛は禁止しなければならないのでしょうか。

 

A1 禁止しなければならないということはありませんし、私のような教員がどうこう言うことではありません。学生が主体的に決めればよいことです。そのうえで私の立場からアドバイスしたいと思います。

まず、クラブの目的を明確にすることです。一般的に大学のクラブやサークルは、学業の休息の場、趣味を楽しむ場であることも多く、社交の場という目的を持つこともあります。そういうクラブであれば、その中でカップルができても何の不思議もありません。しかし、創価大学の場合は、建学の精神の実現の場、人間教育の場、自身の鍛錬の場、など、真摯な目的を持って取り組んでいるクラブが多いと思います。そのような真摯な目的のクラブが社交の場という目的を兼ねるのは、実際のところ不可能であると思います。

ですから、自分のクラブはそこが不明確だという場合は、部員同士でよく話し合って、気軽な社交のクラブで行くのか、真剣な目的のクラブで行くのか、自分たちではっきりさせることです。後者に決めたならば、自分たちの総意で恋愛禁止という方針に全員がコミットすることをおすすめします。

一度決めたら、新入部員勧誘の際にクラブの目的を明確に示し、恋愛禁止の原則も明言しておくことです。恋愛は個人の自由ですが、クラブが部内恋愛禁止を決めることも自由です。そして、どのクラブに入るのか、学生には選択の自由もありますから、そうした方針を聞いて同意してくれる学生に入部してもらえばよいのです。

 

Q2 真摯な目的のクラブ内で恋愛を両立させることは不可能なのでしょうか。

 

A2 高い目的のために鍛錬しなければならないクラブでは全員が自分を律して、高い精神性を維持しなければなりません。部内恋愛は、そうした緊張感を緩める逃げ場となるでしょう。

そして、それ以上の問題は、当事者以上に、周囲の人たちに与える悪影響が甚大なのです。例えば、いつも一緒にいるとか、手をつないでいるとか、そういう光景を見せつけられた人は、まず、いい気分はしないものです。当事者の甘い楽しい気分とそれを傍観する者の冷めた気分との間には相当な落差があります。

さらに怖いのは三角関係です。クラブ内で三角関係が生まれたら、それが強い憎悪を生んでクラブ内の人間関係をドロドロにする恐れがあります。誰かがクラブを辞めなければならなくなるでしょう。

若い世代の男女が毎日のように会う中で、互いに好感を抱くことは確かによくあることです。むしろ共に力を合わせて真剣に取り組んでいるなかでこそ、人間の魅力というものは発散されるもので、社交目的のクラブ以上に、むしろ「惚れて」しまいやすいのではないかと思います。だからこそ、どんな気持ちになっても、具体的な行動に移さないことを互いの約束ごととして確認し、自制していかないと、知らず知らずのうちに目的がすり替わります。そして、自制しないで付き合い始める人が出ると、そこには往々にして嫉妬が生まれます。そして、その光景をクラブに来るたびに見せつけられるのはたまらないと感じるでしょう。これは「内心の三角関係」と言えるでしょう。

また、付き合い始めた人たちの行為を裏切り行為と感じる可能性もあります。自制することが、「正直者が馬鹿を見る」ように思えてしまったら、各自が自分本位で恋愛に走るようになります。そうなると、クラブの共通の目的は置き去りにされてしまうでしょう。

社交のクラブであれば、部内で失恋した人は割り切ってクラブを辞め、気持ちを清算すればよいのですが、真摯な目的を持ったクラブの場合、そのことを理由に辞めることには心理的抵抗があります。“裏切った”人たちの方が辞めるべきだと思うでしょう。そして嫉妬が憎悪に発展し、部内で陰口をたたき合うような醜い人間関係の泥仕合が生じ、友情とはほど遠い、また、本来の目的とはほど遠いクラブになってしまうのです。そういう内容の相談を何件も受けてきました。そうなってしまってから修復するのは本当に難しいことです。人生勉強にしては、失う代償の大きさを考えると、授業料が高すぎると言うべきでしょう。だから私は、真摯な目的のクラブでは恋愛を互いに自制しあっていくことを強くおすすめしたいのです。

青春時代の恋愛についての創立者のご指導もあります。深い洞察に基づくものです。創大生としてこれを参考にすることをお薦めします。(参考:創立者の恋愛観に学ぶ

 

Q3 自分のクラブでは昨年執行部の先輩同士が恋愛していましたが、やるべきことはやっていたので問題ないように思えました。

 

A 執行部メンバーの恋愛は部員からの信頼を失うものです。執行部は模範を示さなければなりません。執行部がそのことを曖昧にすれば、部員全員がルーズになります。自分自身を自制できない人に部員が信頼してついていくことはできません。執行部は通常一年間ですから、その間は強い意思で自制することをお勧めしたいと思います。

 あなたのクラブでは問題なかったとのことですが、昨年、別のクラブの学生が私のところに「クラブの中心者の先輩が恋愛している姿が信じられない。不信感でクラブが続けられなくなった」とこっそり相談に来ていました。

そのように相談に来る人はまだよいのですが、心の中に不信感や憎悪を抱いたまま、誰にも相談できずに何か別の理由を言って静かにクラブを辞めていく人も、あなたのクラブにもいたかもしれません。とにかく、何事もなかったから結果オーライと考えるべきではないと思います。

 また、執行部メンバーの恋愛はクラブ運営の公平さに疑念を抱かれる恐れもあります。部長や副部長などのリーダーは、すべての部員に対して公平でなければなりません。例えば、一部の意見が重用されているのではないかとか、選手選考に色眼鏡が入っているのではないかなど、必要以上の不信感を抱かせかねないのです。

 

Q4 クラブに同性の友人のように仲がいい男女がいるのですが、周囲から誤解されて困っているようです。どうしてあげればよいですか。

 

A その二人のことは一つの視点から見れば気の毒な話だなと思います。しかし、別の視点から見れば、実際二人の仲がどうであるか以上に、周囲にどう見えるかということの方が大事な問題なのです。誤解をされるという場合には、たいてい常識的な男女の襟度を超えた接し方をしている場合が多いのです。そのような振る舞いは、結局、往々にして緊張感の欠如、だらしない異性関係を引き起こす一因になりやすいのです。したがって、そのような誤解のない、襟度ある振る舞いを心がけていく必要があるでしょう。

また、二人のうち一人は友人として親しみから気安い行動を取っていたとしても、それが相手の心を恋愛感情に発展させてしまうこともあります。要は自分本位で考えないことだと思います。

 

Q5 クラブ内恋愛で悩んでしまっている後輩の相談を受けた時、どのように接すればよいでしょうか。

 

A まず、よく話を聞いてあげることだと思います。本人の気持ちによく耳を傾けて、共感してあげることも必要です。そのうえで、そのことに流されないよう、また、その人自身があとで悔いを残さないよう、冷静で信念のある激励をしてあげることだと思います。

間違っても叱りつけたり、頭ごなしに否定したりはしないことです。恋愛に悩むことだけでその人の人格が否定されるなどということはあってはならないし、むしろ誰もが恋愛して当たり前の年頃なのですから、クラブの約束事を守って秘かに相談してくれるということに敬意を払うべきです。その意味において、相談を受けた人は絶対に秘密を守ってください。苦しい胸の内をせっかく先輩に相談したのに、それを叱ったり、人に話して知れ渡ったりすることは、相談者の尊厳を脅かす行為です。そうなると、その相談者はもう誰にも相談できなくなって苦しみます。執行部の皆さんが率直に相談しようと思えるよき相談役となって、一人一人の思いをしっかり受け止めて、激励しながら進んでいくことが大切だと思います。内容はともかくケース・バイ・ケースですから、皆さん、ぜひ対話の達人になってください。

 それから、執行部の人自身が悩んだときは、相談できる良き先輩を持つことです。前執行部の先輩でもよいし、クラブ外の先輩、場合によっては卒業生でもよいと思います。恋愛問題に限らず、万般にわたって、良き先輩を持つことは大事なことです。

 

Q6 創価大学の中で気楽な社交のサークルを作ってもよいと思われますか。

 

A6 どのようなサークルを作るかは学生の皆さんの自由です。自分たちの合意で作ればよいと思います。大学の本来の目的は学業なのだから、クラブは学業の息抜きとして気楽にやればよい、クラブぐらいでそんなに真剣になる必要ない、という主張をされる教授の方もいます。ある意味で、現在、名門大学と言われている他大学のサークルは概してそういった性質のものが多いということも事実です。しかし、創大生の気質から言って、あまり気楽に要領よく軽いサークルをやるということには創大生は概して不慣れで、そういった気楽なサークルは比較的短期間で消滅するか、定着するとすれば、次第に真剣な取り組みをするものに変化していくか、どちらかの歴史をたどることが多いように思われます。結局、創大のクラブは、良くも悪くもそういう真面目なものであったし、今後もそうあり続けるだろうと思っています。

創大のクラブの精神性の高さは他大学のどこも真似できないすばらしいもので、私はこれを高く評価すべきだと考えています。他大学のサークル(筑波大学吹奏楽団)を経験している私にとって、他大学ではどんなに逆立ちしても作れないものであることが実感としてわかるからです。そこで得た人間力は社会でも必ず活きる価値あるものであると信じます。

私が学生部長として、多忙な時間を割いて応援や激励に行くとすれば、より真剣に取り組んでいるクラブに優先して足を運ぶことになるでしょう。真剣にやっている分だけ、学業や進路が疎かにならないようにという心配の意味もあります。どんなに人間力を積んでもそれを活かす活躍の場を得られないようでは、宝の持ち腐れとなってしまうからです。少しでも小言めいたことを言うには信頼関係も必要ですから、応援する時には自分も真剣に応援するようにしています。ともあれ、学生たちの創造のエネルギーが適正に発揮されていくように、われわれ教職員は全力で激励していく責務があると思っています。

 

 学友会クラブ部長懇談会より 2009.6.19(加筆2010.3.13


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