放射性ヨウ素は3/15~25にその大部分が放出された。公開データとして残っているのは少なくとも18日以降のものである。甲状腺癌 の発生は放射性ヨウ素による初期内部被曝の影響が大きい。放射性ヨウ素は地域的には放射性セシウムの広がりとは異なる側面をもつ。この問題を科学教育の課題を考え、できる だけ簡単な方法で地域における初期被曝の推定を行うべく、公開データから放射性ヨウ素の広がりを明らかにする方法を考えたい。そ れを甲状腺癌発生の地域差と比較したい。
右図:甲状腺がん・疑い 発見率マップ
    (放射線被ばくを学習する会・共同代表 温品惇一氏作成 2014/12/31段階の数値)
中図:放射性セシウムによる土壌汚染(文部科学省、航空機モニタリング結果 8/28 より筆者作成)
下図:放射性ヨウ素による県内20小学校校庭土壌汚染(原子力規制庁 schoolairsoil.pdf 4/5 より 同)

Cs汚染

I汚染

原発から北西の方向では、ヨウ素131は放射性セシウムの1.0~1.3倍、南南西では2.3~5.3倍の値になってい る。これをヨウ素・セシウム比として上図に示した。この比は2011年4月5日あたりの値であるから、放出のピーク時(3月15日~16日、21 日~22日あたり)ではその4倍ちかくに増大すること が見込まれる。甲状腺癌発生率が高いいわき市は放射性セシウムの汚染度が比較的低いが、上図に 示したようにヨウ素・セシウム比が高かった。