日本安定同位体・生体ガス医学応用学会

理事長  中村光男

 

 この度、日本呼気病態生化学研究会と13C医学応用研究会が一つにまとまり、日本安定同位体・生体ガス医学応用学会 (Japan Society for Medical Application of Stable Isotope and Biogas) として発足する事になりました。

 前者は小橋恭一先生(富山医科薬科大学名誉教授)が初代会長で、ヒトのバイオガス成分分析によって非侵襲的かつ簡便に、病態診断を目標として1998年に発足致しました。二代目会長・渡辺明治先生(富山医科薬科大学第三内科教授)と三代目会長・近藤孝晴先生(名古屋大学大学院医学研究科保健医学講座教授)によって発足し、プロシーディング「呼気生化学の進歩」が機関紙として発刊されておりました。

 一方、後者は1985年、安定同位体である13C化合物を用いた病態解明を目的に発足し、1991年から機関紙「13C医学」が年1回発刊されてきました。初代会長・塚田裕三先生(慶応義塾大学名誉教授)、2代目会長・湯浅龍彦先生(国立精神・神経センター国府台病院神経内科部長)に引き継がれ(事務局は創価大学生命科学研究所、金松知幸教授)、本年まで両研究会が独立的に運営され、年1回の学術集会と機関紙の発足がなされてきました。

 しかし4〜5年前から、両会に参加している先生方より両研究会を一つにしてはどうかという意見が出る様になってきました。当時の両研究会の会長の湯浅龍彦先生、渡辺明治先生、金松知幸先生と私とが協議して、両会とも参加している先生方がいる、両研究会の主旨も比較的類似している、意見交換の場で広い知識を得て共同研究もやり易い等の点で一致しました。このため両研究会を同一会場で同一日に開催することが妥当であるという結論に達し、その次の研究会を合同で佐倉市のウィシュトンホテルで行うことが決定されました (第7回日本呼気病態生化学研究会 運営委員長:中村光男,第20回13C医学応用研究会 発表会幹事:湯浅龍彦)。その後、東邦大学医療センター大森病院 臨床講堂を利用できる様、三木一正先生 (東邦大学消化器内科教授) の御援助のもと合同開催が現在まで継続されてきました。

 その結果、両研究会をまとめて一つの学会にした方がよいとの意見が両評議員会や役員会で決定されました。13C医学応用研究会設立当初から会の運営に尽力され研究会を牽引されてきました平野修助先生 (東邦大学名誉教授) の御指導のもと両研究会を研究会を一つにし、日本安定同位体・生体ガス医学応用学会として、ここに発展・解消する運びとなりました。

 このことによって、生体ガスの応用面(呼気、皮膚、放屁ガスや口臭等)や、13C化合物を投与した結果、呼気へ排出される13CO2測定によっての診断法、病態解明、13Cラベルできる化合物の合成、さらに13C化合物の特性を生かした脳代謝研究などに拍車がかかるものと思います。

 研究者が一堂に会し、情報交換しつつ、医学・医療に貢献できる可能性も飛躍的に増大するものと考えられます。

 本学会は会員総数200名位ですが、21世紀の医療・医学を支える検査法を発展させ、非侵襲的、非観血的特徴を生かし、医学のみならず、医療にも必ずや貢献できるものと確信しております。本学会は医師・医学研究者のみならず、薬学者、臨床検査技師、栄養士は勿論のこと、生物系を専攻されている先生方や、機器開発に携わる各企業の方々など広い範囲で活躍の場があります。

 両研究会設立時の塚田裕三先生や小橋恭一先生の先見の明に畏敬の念を抱くとともに、設立主旨を心に刻み、更に本学会を発展させたいと思います。