意義素 sememe

単語の意味を構成する単位。単語の意味という外形のないものを分析するには、それなりの概念という道具立てが必要である。言語学において、「文の意味」と「語の意義」と呼び慣わして、「意味」と「意義」を分けて使っているのもその一つである。そうした語の「意義」を構成する要素として、音素(phoneme)や形態素 (morpheme)に準じて意義素(sememe)が立てられた。
  「男」=「人間、オス、成体」
などの意義素に分解して説明すると、
  「女」=「人間、メス、成体」
  「雄」=「非人間、オス、成体」
となる。「男」と「女」の差は「オス」か「メス」であり、「男」と「雄」の差は「人間」か「非人間」かであることを明示的に示すことができる。有力な分析法であることは間違いない。ただし、容易に気が付くように「オス」が「=」の両側に出現するなどの矛盾を解消できていないし、どこまで意義素に解体できるのかが不明であるなど、問題点も指摘できる。