敬語 politeness

現代の研究においては、「待遇表現」の枠の中の用語として使われる。待遇表現とは、話者が示す気の回し方を言語表現化したもので、その点で英語研究におけるポライトネスpolitenessと重なるので、英語としてはpolitenessと記した。
待遇表現論では、話題の中の人物に対する待遇として、尊敬(語)と謙譲(語)、聞き手に対する待遇として丁寧(語)の三つに分ける。2007年の「敬語の指針」では、「(1)尊敬語(2)謙譲語1(3)謙譲語2(丁重語)(4)丁寧語(5)美化語」の5分類案が示されている。人称との関係が深いことが知られている。

注意すべきは、それぞれの対象に対して尊敬の心がアル/ナイあるないといった心の持ち方によって言語表現を選ぶというよりも、社会的役割によって、場面ごとに表現が要求されるという点である。個人的には尊敬していなくても、先生との会話で敬語を使う必要があるのは、先生と生徒という社会的役割を果たすためである。「喧嘩を売る=関係の破綻」において敬語が使われないのは、役割の破棄を示す。