漢字音(呉音・漢音・唐音)

漢字を中国語の発音で取り入れた読み方。取り入れた時代や地域、位相によって差があり、呉音(六朝時代・江南、古代日本・仏教語関係)と漢音(唐時代、長安を範とする北方音、奈良時代以後・儒教を含む一般)が重要である。それに加えて少数ながら、唐音(宋音・唐宋音とも・南方、室町期以後・臨済禅関係)もある。「行」の字を例にすると、ギョウ(修行・行者など)が呉音、コウが漢音(行動・実行など)、アン(行脚・行燈など)が唐音である。日本語の音読みに見られる広範な複数性は、漢字文化圏にはなかったが、明治以降においては1字1音化(多くは漢音へ)が進んだと言える。もっとも、全くないわけではなく、現代中国語の多音字(duōyīnzì、一説には600字あるとのことだが、日常的には50程度)やコリア語にも見られる。