Berkeley Diary
Masaki YAMAOKA
Apr/25/2005 言葉の‘時差’みつけた(1)
ジェット・ラグ VS. 時差ボケ
アメリカでの生活で、私は英語と日本語のあいだに興味深い差異があることに気づいた。そのことを日記に記しておこうと思う。
この地球では、場所によって時刻が異なっている。人々がこの
時差というものの存在に気づくのには、主に二つのケースがある。一つは海を超えて国際電話をかけるときである。もう一つは飛行機で長距離を移動するときである。
サンフランシスコ国際空港に到着したときは午前10時だった。そのとき日本は、次の日の午前2時だった。わたくしはそれから1週間時差に悩まされた。日本語ではこの苦しみを「時差ボケ」と呼ぶ。「ボケ」は動詞の「惚ける」から来ている。その意味を英語で説明するのは難しい。いずれにせよそれはいい意味ではない。例えば、「ボケ老人」という熟語は「老人性痴呆症患者」という意味だ。日本人にとって時差はそれほど悩ましいものだということだ。
しかし英語では、この現象を「ジェット・ラグ」という。日本人は結果としての苦しみによってこの現象を名づけ、英語話者は原因としてのジェット機によって名づけているのだ。かれらは日本人ほど苦しみを感じないのかもしれない。特にアメリカは巨大な国土で、東海岸と西海岸のあいだには3時間の時差がある。大リーグの野球選手はしょっちゅう「ジェット・ラグ」のなかで仕事をしている。いっぽう、日本のような島国の人々は、わたくしを含めて、時差ボケにすぐに慣れることができないのだろう。