山岡政紀 書評集No.61


『俵万智のハイテク日記』 俵万智著/1992年2月1日発行/朝日新聞社刊/定価1100円


 他人の日記をのぞき込むというのはいささか悪趣味だが、本書は率直でてらいがなく、他人が読んで楽しめる日記である。俵万智という人が公にその内面をさらして堪えられる人であることも改めて認識できる。
 と同時に、その幸運な人生を見せびらかされているようにも感じてしまう。そもそも、パソコン雑誌の企画のおかげで、ろくに使いこなせもしないマッキントッシュを自室に置き、結局ゲーム専用機におとしめ、しかもオアシスを知人の善意で譲り受けて愛用する……さらにその知人があの岩城宏之だったりすると、いくら俵さんが才能を誇る人でも、恵まれすぎやしないか。
 評者にしても物を書くのが商売で、職場のパソコンをワープロをはじめ多方面に活用している。ブラインドタッチは数週間で身につけたから俵さんより絶対に運動神経もいい。しかしいまだに自前のパソコンも、著名人との交流もない。評者と同じ境遇の多くの読者を代表して、俵万智さんに嫉妬の念を表明したい。


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