※大学院国際言語教育専攻に関するFQA(Frequently Questioned Answer よくある質問とそれに対する回答)

創価大学大学院文学研究科修士課程に、2009年より国際言語教育専攻が開設され、日本語教育専修に1期生11名、2期生3名、3期生6名が入学しました(創価大学公式ウェブサイトを参照してください。http://www.soka.ac.jp/dept_grad/grad/research/inter_lang.html)。

私のもとに日本語教育専修に関するご質問が多く届いておりますが、入学試験に関して一部の方にのみ詳細な情報をお伝えすることは公平性を欠きますので、以下にFQAを掲載させていただくことに致します。どうぞ、ご参考にしてください。

 

Q 入学試験はどのような内容でしょうか。また、合格するためにはどんな勉強をすればよいのでしょうか。

 

 まず、一般論として以下のことを申し上げます。大学学部の入学試験が概ね均質的な問題が出願されるのに対 し、大学院の入試問題は大学によって出題傾向が大きく異なります。したがって、大学院の受験勉強はまず過去問題(3〜4年分)を入手してその問題傾向を分析するところから始めなければなりません。多くの大学では過去問題を公開していますし、言語学関連の大学院については、大修館書店の月刊雑誌『言語』の毎 年12月号に前年度分の主要な大学院の入試問題の特集記事が掲載されます〔注・200912月号をもって休刊〕ので、参考にするとよいでしょう。この特集記事などで比較してみれば、大学院の入 試問題の出題傾向がいかに大きく異なるかが一目瞭然でしょう。ですから、大学院は学部と違ってあまり併願をお薦めできません。複数の異なる入試傾向に備えた準備をするというのはあまり効率がよいとは言えないからです。学部のように大学院入試の難易度が偏差値で序列化されるということもありません。ある人は A大学院に合格してB大学院に不合格となり、別のある人はB大学院に合格してA大学院に不合格となるということはよくあることです。それはどういう準備を したかによってどの大学院に合格できるかが左右されるからです。

 

さて、他大学大学院を受験される方には、過去問題を見ながら問題の傾向分析や勉強法について詳細にお話しをするのですが、今回のケースでは私は試験を実施する側の人間ですので(作題者が誰であるかにかかわらず)、詳細をお話しすることは適切ではありませんし、また公正を欠きます。

国際言語教育専攻は開設してより日が浅く、過去問題が少ないですが、ある程度傾向はつかめると思います。こちらの公式ウェブサイトをご覧ください(http://daigakuin.soka.ac.jp/exam.html)。

専門科目は募集要項に「日本語学・日本語教育に関する問題」と示されています。要するに、受験生は学部教育において、「日本語学」「日本語教育」を学んできているという前提で、その習熟度を問う問題が出されるのだと考えられます。したがって、学部教育における教科書やノートを広く復習しておくことに尽きるでしょう。

学部で「日本語学」「日本語教育」を学んでいない人は、両分野の“入門”や“概論”といった名称で大学教科書として採用されているものを入手し、勉強することも一つの方法と思いますが、それ相応のハンディは覚悟しなければなりません。

なお、国際言語教育専攻ができる以前には社会学専攻日本社会文化論専修の過去問題にも、「日本語学と日本語教育に関する問題」が出題されているので、そちらも過去問題として参考になると思います。

外国語(英語または中国語)の試験問題についても、今年度の入試及び、同じ文学研究科の他専攻(英文学、社会学、人文学、教育学)の過去問題を参考にしていただくとよいと思います。

 

Q 入学試験の難易度はどの程度でしょうか。

 

 一般論として、専門科目においても語学においても、満点を目指していただきたい と思います。そのうえで、一つの目安として各科目で7割の得点が出来ることを最低ラインと思って取り組んでください。これは個人的に申し上げるラインであって、公式な数値ではありません。最終的な合否は志願者の人数や、また、どのような実力レベルの志願者が受験してくるかに よっても変化しますことは、言うまでもありません。問題そのものの難易度については過去問題をご参照ください。

 

Q 学部で日本語教育を専攻していない学生の受験は不利でしょうか。

 

A 大学院はどの専攻であれ、専門性が問われますので、専攻を変えての大学院受験は実質的な意味において不利となることは一般論として間違いないでしょう。日本人ならば誰でも日本語教育ができるといった、日本語教育の専門性に対する一般的な誤解があり、そのような見方からすれば専門性の壁が予想以上に厚いということになると思われますが、実際には通常どの学問分野でも求められるのと同程度に専門性が求められるというふうに理解していただきたいと思います。

 

それ以上の不利、つまり、「入学試験において同程度に得点していながら、学部で日本語教育を専攻した受験生に比べて、他専攻出身の受験生は不利である」というようなことは全くありません。本学の法科大学院では法学部以外からの受験も薦めていますが、これは法学未履修者向けの3年コースが設定されているからであり、本専攻においては日本語教育未履修者用のカリキュラムは準備されていないため、入学試験でも日本語教育に関する専門性は問われることになります。

 

ちなみに、現在までに入学した3期生までの17人のうち、学部で日本語教育を専攻し、学内選考で直接入学した学生は、各学年1名ずつのみです。他の14名は、海外の大学出身、本学の英文学科出身、社会学科出身、中国語専攻出身など、多彩ですが、どの方も日本語学・日本語教育を独学、あるいは民間の講座等で学習され、入学試験で立派な成績を取って入学されています。

 

Q 「志望理由および入学後の研究計画」にはどのようなことを書けばよいでしょうか。

 

A 言えることは限られていますが、少しだけアドバイスします。まず、「志望理由」と「研究計画」の割合ですが、「1:2」から「1:3」ぐらいの比率が適当です。最近、これと逆の「3:1」あるいはそれ以上の比率で「志望理由」に比重を置いたものをたまに見かけます。これでは、「研究計画」の重要性を認識していないと言わざるを得ません。修士課程では、修士論文またはリサーチ・ペーパーを執筆し、合格することが修了の要件となっています。わずか2年でしっかりとした論文を書くには、入学前からある程度は研究テーマの構想が固まっていることが求められます。学部の卒業論文の延長でテーマを構想している場合は、卒論の概要も略記して構想を記すとよいでしょう。担当教授たちは、この「研究計画」を事前に読んで、当該受験生の研究能力についてある程度の予測を立てることができます。

 

 「志望理由」は大学院に対するしっかりとした理解や進路観が問われるところですが、あまり比重をかけずに率直なところを書いてください。「立派な日本語教師になって○○のお役に立ちたい」といった動機づけの強さを強調するための言葉を長々と書いても、そのことで合格可能性が上がることはなく、むしろそのために「研究計画」が貧弱なものとなれば、却ってマイナスであると思ってください。

 

そして、面接では、一般論として、この「志望理由および入学後の研究計画」を確認するための質疑応答が含まれているものであると言ってよいでしょう。

 

 

  国際言語教育専攻担当 山岡政紀 myamaoka@soka.ac.jp

 

2008.8.14/更新2009.4.232009.5.92011.4.252011.8.102013.1.26


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